岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」のたたき台がまとまり、それの実現に向けた政府内の議論が進んでいる。数兆円規模とされる財源の確保策が大きな焦点だ。現役世代が負担する社会保険料の引き上げで対応する案が有力視されているが、経済界などには慎重論が根強い。社会保障全体の予算を削減して捻出すべきだという意見もあり、医療界が警戒感を強めている。関係者のこれまでの発言をまとめた。【兼松昭夫】
政府が3月31日に公表した少子化対策のたたき台では、これからの3年間を「集中取組期間」と位置付け、「こども・子育て支援加速化プラン」(加速化プラン)に取り組む方針を打ち出した。
加速化プランは、▽子育てに伴う経済的な負担を軽減するための支援▽子育て世帯に提供するサービスの拡充▽共働き・共育ての推進-などが柱。
経済的な負担への支援では、出産費用(正常分娩)の保険適用を検討する。出産に伴う経済的な負担を和らげるのが狙いだ。2024年4月に国が始める出産費用の「見える化」の結果を踏まえて判断することになった。仮に保険適用するなら最速で26年度の診療報酬改定になる。
たたき台では、「こども予算」を将来的に倍増させる方針を明記した。ただ、そのための財源の確保策には踏み込まず、6月の骨太方針の取りまとめまでに大枠を示すこととされた。
4月7日には、全世代型社会保障構築本部の下に設置された「こども未来戦略会議」の初会合が開かれ、少子化対策のメニューや予算、財源確保策の議論を始めた。
■社会保険料の増額に経団連・連合は慎重な姿勢
少子化対策の財源確保としては、現役世代が負担する社会保険料の引き上げで対応する案が今のところ有力視されている。
これは、
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