食材費や光熱費が高騰する中、社会医療法人博愛会の菅間記念病院(栃木県那須塩原市、338床)では、食事の不要なアレンジを減らすことで業務を効率化し、手間と人件費を圧縮している。ただ、それにも限界があるといい、給食の提供が難しくなることへの危機感を強めている。【聞き手/兼松昭夫】
社会医療法人博愛会菅間記念病院
事務長・藍原隆氏/栄養科・吉田いくえ氏
■5月の電気代が3割増し
-食材費はどのような状況か。
吉田 委託先の給食会社が食材費を負担しているが、新型コロナウイルスの感染拡大のタイミングで食用油や小麦製品、乳製品などが値上がりし、1人・1日当たり15円ほど上がった。うちではデイケアやショートステイを含め、1回200食ほどを提供している。1日3食とすると月ベースでかなりのコスト増になる。
-委託先の値上げ交渉はいつごろあるのか。
藍原 毎年2月ごろ。コロナ拡大に伴う値上がり分は業務委託費にまだ反映されていない。ロシアのウクライナ侵攻後にも値上がりしているので、2023年度から高くなるだろう。一体、どれだけの値上げを要求されるのか。
前回の契約更改時には、今までと様相が異なるので応じざるを得なかった。食材費などが明らかに高騰しているからだ。そうしないと委託先が持たず、給食の提供に支障が生じかねないと判断した。
-コスト削減はどのように進めているか。
吉田 食材費を抑えると食事の質が落ちてしまう。病気を抱え、ただでさえ食欲のない患者さんに質の低い食事を出すわけにはいかないので、食事の内容を見直して業務を効率化し、人件費を増やさないように努めている。
うちは診療科が多く、特に急性期病棟で食種のバリエーションが多くなりがちだが、献立の展開をなるべく標準化し、厨房スタッフの勤務時間を短縮している。
また、医師や看護師、リハビリテーションスタッフが把握した患者さんの食事情報を基に、管理栄養士が速やかに介入することで、過剰なアレンジを減らして食事を適切に提供できるケースもよくある。
例えばアレルギー食。
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