2022年度診療報酬改定の取材をしてきた記者による覆面座談会もいよいよ最終回。初回は感染対策向上加算、前回は「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)などが話題になった。最終回では機能強化加算の要件見直しや、24年度の介護報酬との同時改定の行方などが議題に上った。【CBnews編集部】
【プロフィール】
A記者 今回の診療報酬改定取材の主担当
B記者 診療報酬取材歴10年以上の記者
C記者 精神科医療を中心に診療報酬改定を担当
―直近で、「感染対策向上加算」に関する記事への関心が高い。
A記者 厚生労働省が出した22年度改定に関する疑義解釈資料では、これまで計7回のうち、4回が感染対策向上加算の解釈を示した。この加算に関する医療現場からの質問が多く、関心度の高さがうかがえる。実際、「CBnewsマネジメント」では関連記事が閲覧数の上位にランキングされる傾向がある。
―「CBnewsマネジメント」では「診療所に外来データ提出加算新設、50点」の記事もアクセスが高かった。
C記者 診療所でいうと、「耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算」という新しい切り口が提示された。薬剤耐性が問題となる中、抗菌薬を使わない場合に加算を付けて抗菌薬の適正使用を行う診療所の取り組みを評価する。
―ほかに診療所に関してはどのような影響があったのか。
A記者 機能強化加算の要件が厳しくなった。「かかりつけ医」機能を持つ病院であることを院内やホームページなどで掲示し、それを必要に応じて患者に説明することが要件に加わった=表1=。
表1 機能強化加算の算定要件が見直され、患者への対応や院内掲示などが加わった
厚労省の資料を基に作成
ほかにも、専門の医師や医療機関へ紹介したり、健康管理に係る相談に応じたりするなど、「かかりつけ医」的な取り組みも加わった。これまでは、そういう体制を取っていた医療機関は機能強化加算を算定できたが、施設基準を満たしても実際には機能を果たしていなくてポーズだけでは駄目なんじゃないかとの意見が中央社会保険医療協議会(中医協)で出た。
支払側の委員が、「院内掲示や患者に説明して初めて、患者にとっての『かかりつけ医』なんじゃないか」「少なくとも院内掲示だけでもしなくちゃいけないんじゃないか」と何度も訴えた。その意見が、今回の改定で反映された。
B記者 機能強化加算は、専門的な医療機関に必要に応じて患者を紹介するなど「かかりつけ医」が行う初診への評価として18年度に新設された。地域包括診療料や地域包括診療加算、在宅時医学総合管理料など「かかりつけ医機能」を評価する報酬を届け出て、健康管理の相談に応じることなどを院内掲示したりする診療所と許可病床200床未満の病院が全ての初診患者に80点を算定できる。
ただ、地域包括診療料や地域包括診療加算を届け出ているのに半年間、それらを全く算定していないケースがあることが分かった。中医協で支払側にそこを問題視され、算定実績を求めることになった。
―かかりつけ医の議論が出ているが。
B記者 国は、「かかりつけ医」や「かかりつけ医機能」の明確な定義を示していない。18年度の診療報酬改定でオンライン診療への評価を新設する際、「かかりつけ医機能」とは何かが焦点になり、日本医師会と四病院団体協議会が14年8月に出した合同提言を前提に議論することになった。
政府が21年末にまとめた新経済・財政再生計画の改革工程表2021では、「かかりつけ医機能」の明確化と普及策を23年度にかけて検討することになっている。厚生労働省は、「かかりつけ医機能」の明確化の議論を22年度早々に始める方針だったらしいが、まだ始まらない。
A記者 どこかで議論するって言っていた。
B記者 いずれにしろ、「かかりつけ医機能」の定義が明確になったら、診療報酬でそれをどう評価するかも中医協で改めて議論することになるのかもしれない。
―かかりつけ医の定義に関する議論は今年のいつ頃には始まりそうなのか。
A記者 外来機能報告制度に関する議論の時も、
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