【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
介護職員の収入を月額3%程度(9,000円)引き上げるための財源約1,000億円が盛り込まれた2021年度補正予算案が20日、参院本会議で可決、成立した。これにより、22年2月以降に介護職員の給与改善のための補助金が支給されることも正式に決まった。
支給は22年2月から9月までとなるが、それ以降も給与改善を恒久化するために、22年10月に臨時の介護報酬改定を行うことも決まった。その際も補助金と同様に、既存の「処遇改善加算」を取得している施設や事業所を対象とすることとし、さらにその際には賃上げの合計額の3分の2以上を基本給、あるいは毎月決まって支払われる手当の増額に充てることなども求めていく担保条件を加えることも確認されている。
補助金から介護給付費に切り替えられた時には、150億円ほどの国費を投入することになる。その際には、利用者の自己負担が生じるほか、保険料財源も使われることになる。
この措置により、「介護職員らの給与改善が経済政策としての分配を目的としていることと矛盾するのではないか」という疑義も生まれる。また、そのことが財源論にすり替わってしまうことによって、「今後の介護サービス利用者への給付抑制につながらないのか」などの懸念も生じる。
しかし、介護事業経営者にとっては、解決しておかなければならない重要な課題がある。それは、補助金が支給される事業所では職場内の多職種にリソースを配分する柔軟な運用も認められることから、その配分をどうするのかを事前に決める必要があるということだ。この問題について論じてみたい。
24日の社会保障審議会・介護給付費分科会で示された「介護職員処遇改善支援補助金について(報告)」という資料の内容を確認してみよう。
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000872481.pdf
■悩ましい補助金対象者の問題
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