高額薬も含め、新規医薬品は、厚生労働省による薬事承認が年4回行われ、承認から60日以内に保険収載することが原則だが、財務省の財政制度等審議会の2020年11月建議は、保険収載による財政影響が勘案されていないとして、財政規律強化を求めた。これに対し、日本医師会総合政策研究機構はリサーチペーパーをまとめ、新薬収載による医療費増加分は「自然増」として医療費予算に含まれ、社会保障費は「高齢化」による増加分に相当する伸びに抑えるという調整も行われているなどと反論した。【ライター 設楽幸雄】
財政審の20年11月建議は、新薬の年4回保険収載により生ずる財政影響は勘案されていないとして、「各年度の予算による制約が働いていないと言わざるを得ず、財政の予見可能性が損なわれている」と問題意識を示した。
そのため、医薬品の価格が高額になっていることも踏まえ、▽財政影響を勘案して新規医薬品の保険収載の可否を判断する▽新規医薬品の保険収載は既存医薬品の保険給付範囲・薬価の見直しとの財政中立で行う-ことを含め、「保険適用された医薬品に対する財政規律の在り方を抜本的に見直し、正常化を図るべき」とした。
また、18年5月の建議では、「医療費そのものを抑制しつつ、医療給付費や経済・人口の動向に応じて、一定のルールに基づき給付率を調整(=自己負担を調整)する仕組みの導入」の検討を求めた。
日医総研リサーチペーパーは、これらを、「いずれも医療給付費を抑制するために、あらかじめ定めた総額(または伸び率)ありきで管理しようとするもの」とし、結局は、「給付費から患者本人へと負担が転嫁され、患者が必要な医療を受けることを阻害してしまう危険性が高い」と指摘。
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