新型コロナウイルス感染症が東京都内で再び増加傾向に転じ、透析医療の現場が危機感を強めている。クラスター(感染集団)を起こせば透析医療の提供が一時的に難しくなり、患者はもちろん、施設の経営にも致命的な影響が及びかねない。都内の透析クリニックの事務長は「どの施設も戦々恐々としている」と話す。【兼松昭夫】
写真はイメージ(PIXTA提供)
このクリニック(透析40床)には患者140人ほどが週3回の透析に通う。新型コロナの感染が各地で拡大した2020年3月以降は、来院前の検温を患者に呼び掛け、送迎の際にも一人一人の体温や体調の変化をチェックしている。発熱や体調不良などがある患者には発熱外来の受診を求め、感染が疑われるなら時間をずらし、空きベッドで透析を行う。
送迎車や透析室では、手洗いや消毒、マスク着用などの標準的な感染予防策を取っているが、患者やスタッフがともすれば密になりがちで、院内感染を完全に防ぐ手だてはない。透析患者が新型コロナに感染すると、重症化したり亡くなったりするリスクが通常より高いことが分かっていて、患者とスタッフの双方が危機感を強めている。
クリニックでは、20年末から年明けにかけて透析患者数人が新型コロナに相次いで感染した。そのうちの1人は地元で介護サービスを受けた時に感染したとみられ、患者らに改めて注意を呼び掛けた。
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