新年度に入り、医療の分野でも保険医療で用いられる医薬品の価格(薬価)が見直されたほか、診療報酬上の「新型コロナ特例」が適用されました。医療経営に影響するこうした措置が4月からどうなったのか、ポイントをまとめました。【松村秀士】
■全品目の約7割の薬価引き下げ
薬価は、1日から引き下げられました。ただ、その対象は保険適用されている全ての医薬品ではなく、市場価格との乖離率が5.0%を超える「価格乖離の大きい品目」です。
具体的には、保険適用されている全1万7,550品目の69%に当たる1万2,180品目。厚生労働省が3月5日に官報で告示した対象数では、統一名収載などによって1万4,228品目でした。その内訳は、内用薬8,549品目、注射薬3,534品目、外用薬2,118品目、歯科用薬剤27品目。
また、1万4,228品目のうち、先発薬で後発薬がないのは2,335品目(全体に対する数量割合は16.0%)、先発薬で後発薬があるのは1,703品目(14.6%)、後発薬は7,033品目(48.9%)、その他は3,157品目(20.5%)です。
薬価は従来、2年ごとに見直されてきましたが、今後はその間の年も含めて毎年改定されます。2021年度は「毎年改定」の初年度であるため、4月1日に見直されました。
これまでの薬価改定では改定率(20年度改定はマイナス0.99%)が示されましたが、厚労省は今回に関して、「中間年改定で、薬価単独の改定のため、改定率は出していない」との見解を示しています。
■コロナ対策で外来5点、入院10点加算
医療機関が新型コロナウイルスの感染対策を講じて診療を行った場合、4月から診療報酬で評価されます。例えば、「必要な感染予防策」を取った上で外来の初・再診を行うと1回につき5点、入院では1日当たり10点の加算の算定が可能となります。調剤なら4点、訪問看護なら50円を1回ごとに加算できます。
その場合の「必要な感染予防策」の方法について、厚労省は省内の研究班がまとめた「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」などを参考にするよう求めています。その中では、飛沫や接触の予防策として、ゴーグル(フェイスシールド)やマスク、手袋、長袖ガウン、帽子の着用を挙げていて、患者の移動は最小限にするよう促しています。
厚労省はまた、対応例として、▽飛沫や接触の予防策を適切に行うなど、感染防止に十分配慮して診療などを実施する▽新型コロナの感染予防策を職員に周知する▽感染防止につながるよう、病室や施設の運用の変更などを検討する-ことを挙げています。
こうした特例的な評価は、「感染症対策実施加算」という位置付けで、現時点では9月の診療分までの取り扱いです。ただ、新型コロナの感染拡大がさらに長引けば、延長される可能性がないとはいえません。また、医療機関が電話や情報通信機器を用いてオンラインで診療や服薬指導を実施した場合、特例的なこの加算を算定することはできません。
■看護必要度の経過措置は9月末まで
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