新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、介護事業に関わる基準の緩和や臨時ルールの制定などの対応が1年以上の間、断続的に行われた。現在までに見直しや変更が行われた対応もある。再び感染拡大の兆しが見える現段階において、厚生労働省による事業継続のための支援策を整理する。【吉木ちひろ】
まずは、介護事業者全体に関係する直接的な感染症への対策について。新型コロナ対応への経費面での支援策は、利用者や職員の中に感染者が発生した場合の支援と、日頃からの予防への支援に大別される。
感染者が発生した場合にかかる経費(マスクや消毒液などの購入、事業所の消毒・洗浄経費、人員確保、職員派遣のための費用など)の支援事業は、4月以降、財源を都道府県の「地域医療介護総合確保基金」(介護分)に移し、今後も継続される=表=。一方で、感染防止を目的とした消耗品の購入や研修の実施などにかかる費用に対しては、介護報酬改定の改定率プラス分のうち、0.05%相当分が予算として確保された。これを財源として、4月の改定後の各サービスの基本報酬に、2021年9月30日までの間に限って、「所定単位数の1000分の1001に相当する単位数を算定する」ことが3月15日の告示(附則)で示されている。
3月9日全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議 厚労省総務課説明資料より
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750332.pdf
■退院基準を満たした患者は原則、高齢者施設で受け入れを
これまでで最大の感染者数を出した今冬の流行では、感染拡大地域を中心に患者の受け入れ病床が逼迫する事態となった。こうした状況が介護施設などのクラスター発生にもつながっている。厚労省はこれを緩和するため、複数回にわたって事務連絡を発出し、退院基準を満たした患者の受け入れについて、介護施設や居住系サービス事業所(以下・高齢者施設)にも協力を呼び掛けた。
(残り1139字 / 全1968字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】