新型コロナウイルス感染症の「第3波」が各地で拡大し始めた11月以降、院内感染が発生したりスタッフがコロナに感染したりして、診療を一時的に制限させる病院が東京西部で相次いでいる。たとえ厳重な対策を取っていても感染を防ぎ切るには限界があり、通常の医療との両立が揺らぎかねない。院内クラスター(感染集団)が11月に発生した東京西徳洲会病院(昭島市、486床)の渡部和巨(かずなお)院長は、「医療崩壊になったら仕方がない。われわれは来た患者さんを診るだけ」と話している。【兼松昭夫】
■11月は「試練の月」
同病院は、「24時間365日断らない」を掲げる徳洲会グループの急性期病院。新型コロナの感染拡大の「第1波」に合わせ、4月以降は軽症から中等症の感染者を受け入れ、通常の医療と両立させてきた。しかし、スタッフや患者が感染したり感染が疑われたりするケースが7-10月に続き、病棟の一部閉鎖を繰り返した。
11月には、入院患者を端緒に8-24日に患者やスタッフら計32人の感染が判明。一時は医師2人、看護師8人が戦線を離脱し、新規の入院を月末まで受けられなくなった。最初の感染が確認されたのは、クラスターが8月以降に立て続けに発生し、診療を縮小していた青梅市立総合病院(青梅市)が通常の体制を再開させる前日のことだ。前年同月比で3.2億円の減収に見舞われ、11月は「試練の月」(渡部院長)になった。
昭島・立川市など6市の「北多摩西部医療圏」や、青梅・福生市など8市町村の「西多摩医療圏」では、院内感染やスタッフの感染が11月以降に相次いでいる。それが通常の医療の提供を難しくする。
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