政府が17日に閣議決定した骨太方針2020では、新型コロナウイルスの感染拡大で課題として浮き彫りになった行政や社会のデジタル化の加速が柱となった。医療分野でも、診察から薬剤の受け取りまでをオンラインで完結する仕組みづくりを進めることなどを明記した。一方、従来の骨太方針に盛り込んでいたが、今回は記述を見送った改革項目が幾つもある。コロナ禍で骨太方針はどう変わったのか-。医療など社会保障関連に焦点を当てて探る。【松村秀士】
今回の骨太方針でまず目を引くのは、ボリュームの少なさ。骨太方針2018では72ページ、骨太方針2019は75ページにわたって改革項目などを書き込んでいたが、骨太方針2020は全部で37ページ。
分量が約半分になったのは、新型コロナの影響によるもの。収束していない現在の状況では、その対応が喫緊の課題であるため、政府は今後の政策対応の大きな方向性に重点を置き、記載内容を絞り込んだ。
内容を見ると、「デジタル化」の表記が目立つ。社会保障関連では、感染症対策で課題として認識されたデジタル化・オンライン化を実現するとしたほか、医療や介護分野のデータのデジタル化と国際標準化を着実に進める方針も掲げている。
電子処方箋やオンライン服薬指導等により、診察から薬剤の受け取りまでをオンラインで完結する仕組みも構築する。
また、初診からのオンライン診療を認めている新型コロナ感染拡大時の特例措置の効果や課題の検証について、受診者も含めた関係者の意見を聞いてエビデンスを可視化するとともに、オンライン診療や電子処方箋の発行に必要なシステムの普及促進を含め、適切な実施ルールを検討するとした。
さらに、国立感染症研究所(感染研)と国立国際医療研究センター(NCGM)の体制強化を図るとともに、一体的な取り組みを進めるための体制を構築する方向性も示した。
こうした記述は、政府の経済財政諮問会議が8日に固めた骨太方針2020の原案にはなかったが、自民党の行政改革推進本部が2日に感染研の組織の見直しなどを提言したことへの対応とみられる。
提言では、NCGM内に「感染症研究センター」(仮称)を新設し、それをNCGMと感染研が一体的・総合的に運用することにより、臨床と微生物学および疫学的研究との緊密な連携を推進するとしている。
■診療報酬の「効率化・適正化」の記載は?
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