日本医薬品卸売業連合会は6日、中間年薬価調査について、「実施が決定されても納得できるものではない」とする緊急声明を発表し、渡辺秀一会長(メディパルホールディングス社長)が加藤勝信厚生労働相に提出した。中間年薬価調査の実施は流通改善が前提だったが、現場は流通改善どころではない状況とし、その中で実施を決定することは、「これまでの経緯や現場の実態を全く考慮していないもの」と強く反発している。【ライター 設楽幸雄】
中間年薬価調査については、中央社会保険医療協議会が実施方法についての議論を始めたが、新型コロナウイルス感染症への対応が優先される中で価格交渉は進んでいないとして、卸連と製薬団体が実施の延期を主張、診療側も同様の考え方であるのに対し、支払側は、実施を決めている政府の方針に沿って可能な実施方法を検討すべきと主張。
その折り合いはつかず、政府が検討を進めている骨太方針2020による結論を待つ形で、中医協の議論は中断状態になっている。
この間、製薬団体などは、実施の延期を政府や与党に直接要望。骨太方針を議論する経済財政諮問会議では、その議論をリードする民間議員から製薬団体の声を紹介する発言もあった。
しかし、諮問会議の民間議員全体としては、「薬価調査は実施すべき」との考えであることが示された。
その後、自民党は、骨太方針2020に向けた提言を安倍晋三首相に提出。その中で、21年度薬価改定については「慎重に検討すること」としていた。
だが、菅義偉官房長官は3日の記者会見で、中間年薬価改定・薬価調査は四大臣合意と骨太方針2019に基づいて進める考えを示した。諮問会議の民間議員発言と同様の考え方だ。
卸連の緊急声明は、諮問会議での民間議員の発言や菅官房長官の発言があった中で出されたもの。
薬価調査の主要な対象である卸連が、「実施を決定されても、納得できるものではない」と強く言い切った。政府が法律に基づいて行う調査だが、卸連の協力によって初めて実施できるもので、その卸連が「納得できない」との姿勢を示したものだ。
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