●グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン アキよしかわ会長
【聞き手・構成/兼松昭夫】
新型コロナウイルスの感染拡大で予定入院が減少した手術が外来へシフトしたらどうなるのか。ポストコロナの病院経営を占うために分析を深掘りしてみた。
写真はイメージ。
まずは「白内障、水晶体の疾患」のうち白内障の手術だ。ナショナルデータベース(NDB)の公開データ(2017年4月-18年3月診療分)によると、この間の白内障手術の症例数は全国で148万5,167件という多さだ。白内障の手術は「片眼」と「両眼」に分かれ、いずれも外来と入院で行うケースがある。欧米ではよほど重症でない限り、特に「片眼」は基本的に外来で実施されるが、NDBの公開データでは、17年4月からの1年間に全体の47.1%を入院が占めている=図1=。
一方、われわれが保有する急性期病院のDPCデータ(18年4月-19年3月の退院症例)を分析し、1年間に入院で行われた手術症例の内訳を集計すると、「1泊2日(片眼)」36.6%、「2泊3日(片眼)」33.1%、「それ以上(片眼)」13.8%、「それ以上(両眼)」13.7%などだった。入院による白内障手術の計83.5%を「片眼」が占めたことになる=図2=。
「小腸大腸の良性疾患」のうち、内視鏡的大腸ポリープ切除術(大腸ポリペク)はどうだろうか。NDBの公開データによると、17年4月-18年3月診療分の症例数は全国で122万8,505件に上り、うち37.3%は入院で行われていた=図3=。
既に触れたように、欧米では白内障の「片眼」の手術はほぼ全て外来で行われており、日本でも大腸ポリペク(2センチ未満)と共に外来へのシフトが進んでいる。新型コロナへの感染を避けるため、ポストコロナには、患者側の希望でそうした流れが加速すると予想される。これらの手術は症例数が多いだけに、外来シフトが進むと入院医療の市場(病床へのニーズ)はその分縮小する。
もう一つ、糖尿病の教育入院も見直しを迫られるだろう。
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