【社会医療法人祐愛会 織田病院 総合診療科部長 織田良正】
織田病院(佐賀県鹿島市)は2015年9月より、75歳以上の後期高齢者の患者を対象に、退院直後の病状が変化しやすい約1-2週間に重点を置いて、入院中のケアを継続するための訪問サービスを行っている。病院を基地と見立てて、病院内から在宅へ向かうという意味を込めて、この訪問サービス部門を「メディカル・ベース・キャンプ」(MBC:Medical Base Camp)と名付けた。MBCのこれまでの歩みと成果について、2回に分けて紹介する。
■MBCの目的
当院のある鹿島市は佐賀県西南部に位置し、二次医療圏としては佐賀県南部医療圏に属している。111床の急性期病院として、18年度の平均在院日数は11.8日、病床利用率は91.6%で、年間3000人以上の新規入院患者を受け入れている。
06年には「退院支援看護師」を配置して、積極的な退院支援にも取り組んできた。この時点で、75歳以上の入院患者数は997人で半数近くに達した。このうち85歳以上の入院患者数は336人であったが、18年度には838人へと急増し、10年間で入院患者の年齢構成は大きく変化した。当医療圏は18年3月1日現在の高齢化率が30.4%となり、全国平均を大きく上回ったことがこの背景にある。
限られた病床数をフル稼働している現状において、今後も進む高齢化に対応し、地域医療における当院の役割を果たしていくためには、入退院のスムーズな流れをつくる必要があった。
(残り1328字 / 全1962字)
次回配信は4月14日5:00を予定しています
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】