【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
介護業界を取り巻く状況はますます厳しくなっているが、12月16日の社会保障審議会・介護保険部会では、次期介護保険制度改正に関連して、「これまでの検討と議論の整理の方向性」が示された。
そこでは、今回の制度改正で議論された検討課題のうち、
〇被保険者範囲・受給者範囲の拡大(2号被保険者の年齢引き下げ等)
〇多床室の室料負担(室料の自己負担化がされていない老健等が対象)
〇ケアプラン作成(居宅介護支援費)の自己負担導入
〇軽度者の生活援助サービス等の地域支援事業への移行
〇「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準(3割負担および2割負担の対象者の拡大)
については、見送りとする案が示された。
これは、先の消費税引き上げに伴う国民の痛みが増える中での政治的判断だろう。社会保障費財源でもある消費税を引き上げたのに、さらに利用者負担を増やせば、国民から理解を得られる可能性が低く、反発が起きかねないとし、ソフトランディングをもくろんで先送りしただけだろう。次回や次々回以降の制度改正では、それらの案が随時実現されていくことは間違いないところだ。
一方で、高額サービス費の上限引き上げと、補足給付の見直しが提案されている。これはあたかも、痛みを感じる当事者を一部に絞りつつ、批判の声が起きるのをできるだけ抑えようとする策に思えてならない。
今回は、補足給付の見直しについて考えてみよう。
■補足給付の第3段階で食費負担2.2万円の増加も
介護保険施設の食費と居住費は、保険外費用として利用者の全額負担となる。ただし所得が低い場合には、所得に応じて負担額が減額される。標準的な費用の額と負担限度額との差額が、特定入所者介護サービス費(補足給付)として施設側に支給される。
補足給付の対象は、第1段階から第3段階までに該当する非課税世帯等で、第4段階は食費・居住費共に全額自己負担となる。
補足給付(低所得者の食費・居住費の負担軽減)の仕組み
第88回社会保障審議会介護保険部会(2019年12月16日)資料を基にCBニュースが一部加工(以下同様)
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次回配信は2020年1月30日5:00を予定しています
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