公立病院の再編・統合はどのような形で進むのか-。社会保障審議会医療部会は2019年4月、「代替可能性がある」「診療実績が少ない」公立・公的病院等に対し、他の病院などとの再編や統合について、地域医療構想調整会議で協議し、改めて合意を得るように要請するとしている。
6月下旬には、全国自治体病院協議会(全自病)の小熊豊会長が、記者会見で公立病院などの再編・統合について、「やぶさかではない」と述べている。
小熊会長に、再編・統合はどのような形で進むのか、公立病院に今後求められる役割はどのようなものかを聞いた。【聞き手・構成 大戸豊】
公立・公的医療機関の再編統合「やぶさかではない」
■地域の体制に配慮できるなら「やぶさかではない」
-公立・公的病院の再編・統合について「やぶさかではない」と述べた。
公立病院でも、今のままではやっていけない所もある。1つの病院だけでは、地域の医療ニーズに対応できなかったり、経営的にも無理があったりする。そういった病院には、自治体がかなりの繰出金(公立病院側から見た場合は繰入金)を負担している可能性が高い。
今後人口が減少することを考えても、より広域で医療を提供する方がいいのではないか。
公立病院が再編・統合する場合、近隣の公立・公的をはじめ、民間病院でもいい。ポイントは、将来にわたってその地域の医療が継続できるかどうかだ。
その場合も、われわれは自治体なので、首長や議会、そして何よりも住民の意向に従う必要がある。
例えば、複数の病院を統合して、中核病院に機能を集中させる場合、地域によっては通院するのが難しくなる。その場合、医師などを出張させることや通院の交通手段の配慮も必要になる。そのような体制をつくれるのなら、「やぶさかではない」と語った。
地域医療構想の実現に向けたさらなる取組について クリックで拡大
「第66回社会保障審議会医療部会」資料より
■経費の面で最も問題となるのは、給与や人件費の高さ
-厚生労働省の資料だと、再編・統合が可能とされた場合、まずは公立・公的病院が手を引く印象を持った。
(残り4037字 / 全4896字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】