医療機関や薬局に卸が納入する医薬品の価格は、平均で薬価(消費税込)から9.1%引き。それが2017年9月分を対象とした厚生労働省の薬価調査の結果だった。しかし、その時の卸のメーカーからの仕入れ値は薬価から5.7%引きでしかなかった。赤字の逆ザヤ販売だ。医薬品の流通改善を進める厚労省は、卸のこの逆ザヤ「一次売差マイナス」の解消に向け、メーカーに対し、卸の仕入れ値としての「メーカー仕切価」の引き下げを促す事務連絡を10月に入って出した。【ライター 設楽幸雄】
通常の取引であれば、卸の仕入れ値が下がれば売値も下げる余地ができる。今回、厚労省の指導を受けて、メーカーが卸への「仕切価」を下げれば、医療機関や薬局への納入価も下げてよいだろうということになる。
だが、そうした結果につながってしまったとしたら、医薬品の逆ザヤ販売、つまり「一次売差マイナス」の解消はできない。
厚労省は医療機関や薬局への納入価格に影響を及ぼそうとする意図はなく、あってもできるものではない。
その一方、薬価制度の適正化のために、「一次売差マイナス」の解消は大きな課題である。
実際の納入価格の水準は、2年に1回の薬価調査で、薬価100に対してほぼ91-92%程度の水準にある。そうした水準の中で、メーカー仕切価は94%程度と高く設定されているために「一次売差マイナス」の状態になっている。
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