2018年度診療報酬改定を前に、遠隔診療が脚光を浴びている。
安倍晋三首相が政府の未来投資会議で遠隔診療の評価を進めると明言し、中央社会保険医療協議会での今後の議論の行方も注目される。ただ、遠隔診療がどのように活用できるのかは、まだまだ明らかになっていない。特集では、遠隔診療が現在の診療にどう位置付けられるのかを考えたい。【大戸豊】
■禁煙外来、オンラインでは8割が完了
新六本木クリニック(東京都港区)は精神科をメーンとした都市型の診療所だ。来田誠院長(精神科)は、昨年5月から健康保険組合と共同で遠隔診療での禁煙外来をスタートし、これまで250人ほどを診療してきた。
健康保険組合の健康診断で禁煙外来を希望した患者に対し、初回は対面で診療を行い、2回目以降は患者が遠隔診療を希望し、医師が問題ないと判断したケースについて、テレビ電話を利用したオンライン診療を行った。
来田院長は「禁煙治療は対面よりも遠隔でという議論も出てくるのでは」と自信を見せる
この7月、厚生労働省は都道府県への通知で、テレビ電話などの遠隔診療について、「保険者が実施する禁煙外来」に限り、初診から対面せずに診療を完結させることを認めた。
来田院長は今回の通知について、自分たちの取り組みが評価されたのではないかと語る。同院では今年から健保組合からの患者について、既に初診からの“フルオンライン”の診療を始めており、今月にもプログラムを完了する患者が出てくるという。
保険診療で禁煙外来を受診するのは年間20万人程度で、プログラムを最後まで続けられるのはそのうち4割程度。ただ、同院の遠隔診療では、8割がプログラムを完了できているという。
来田院長は、禁煙治療だけに関して言えば、対面診療より続けやすいという実感があるとし、「今後エビデンスが明確になれば、禁煙治療は対面よりも遠隔でやるべきではないかという議論も出てくるのでは」と自信を見せる。
遠隔診療だけでも法に触れないケース明確化(2017/7/18)
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