「入退院支援」が来年春の診療報酬改定の焦点の一つになっている。といっても、患者がどんどん入院できるようにサポートする、という話ではない。地域包括ケアシステムの中で、入院時からの退院支援を促したい厚生労働省が「退院支援」の頭に「入」を付けて打ち出したもので、従来型の支援では駄目だというメッセージも読み取れる。新しい退院支援の在り方を探った。【佐藤貴彦】
■退院困難でも積極的にサポート
各地で構築が進む地域包括ケアシステムでは、高齢の患者が在宅で療養できるように医療・介護などのさまざまなサービスで支え、必要なときだけ入院する姿を厚労省は描いている=図=。つまり、そうした患者は基本的に在宅療養することになる。退院支援を担当する病院職員には、退院が難しい事情を抱える患者をより積極的にサポートし、在宅復帰させることが求められる。
そうした積極的な支援への評価として、昨年度の診療報酬改定で「退院支援加算1」が新設された。緊急入院の患者や認知症を持つ患者を早期に把握し、家族との話し合いなどを進めると退院時に算定できる。施設基準は退院支援の担当者を手厚く配置することや、連携先の医療機関など20カ所以上の担当者と定期的に情報共有することなどだ=表=。
来年春の改定をにらんだ話し合いは現在、中央社会保険医療協議会の「入院医療等の調査・評価分科会」で進められている。今年6月の会合で、厚労省の担当者が「よくよく考えると、入院時から退院時までの切れ目のない支援が入退院支援だ」と述べ、そうした取り組みへの評価の在り方を検討するよう求めた。
(残り1110字 / 全1772字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】