聖マリアンナ医科大(川崎市)の明石勝也理事長は、地域医療構想に伴って病床機能分化が進めば、育てる医師の姿もこれまでとは異なってくるとみている。高度急性期・急性期の就職先は「狭き門」になってくる可能性もある。むしろ「回復期」などの増加を見越し、総合診療医の育成も本格的に進める必要性があるという。【大戸豊】
■教育・研究のスタッフの雇用は必須
明石理事長は、川崎地域の地域医療構想調整会議に大学関係者として参加してきた。地域医療構想の策定は、各都道府県がスケジュールに沿って粛々と進め、地域医療構想調整会議のメンバーも地域医療構想が何なのか、病床はどう変化するのかをよくのみ込めないまま、議論してきた印象があるという。
ただし、地域医療構想は「医療介護総合確保推進法」という法律に裏打ちされており、これまでの医療計画とは大きく意味が異なるため、大改革が進んでいくという予感がある。
明石理事長には、地域医療構想が動き始めた際、「大学病院の機能が失われないか」という危惧があった。地域医療構想に関するデータの中に、教育や研究といった要素が一切盛り込まれていなかったからだ。
大学病院には診療以外にも、教育や臨床研究といったミッションがある。一般的な病院なら臨床を担う職員のみでも、大学では教育・研究のスタッフも抱えなければ、本来的な機能を発揮できない。
明石理事長は「病床機能と病床数だけで一律に報酬を決めるなら、大学病院もこれまでのように人を確保できない」と指摘。教育と研究が細れば、医療全体の衰退につながらないかと警鐘を鳴らす。
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