来年春の診療報酬改定に向け、101学会が加盟する「外科系学会社会保険委員会連合」(外保連)は昨年秋、保険収載されている手術に関する実態調査を4年ぶりに行った。外保連では、改定で手術料を決める際の基礎資料となる「手術試案」を大幅に見直す方針で、岩中督会長は「最新の実態調査の結果を踏まえ、外科系の技術を適切に評価してほしい」と求めている。【聞き手・構成=敦賀陽平】
■一度に複数の手術、評価見直しを
手術試案の中には、人件費や手術に使用する医療材料の費用がすべて含まれていますが、外保連が算出したコストが、診療報酬の倍以上になっている項目がかなりあります。
また手術料に包括され、コストが反映されていない医療材料もあります。特に、最近の医療材料は高額なものが多いため、医療機関の持ち出しも増えています。例えば、手術に使用する針と糸が典型です。この費用だけで、手術料全体の1-2割を占めます。
手術料とは別に請求できる「特定保険医療材料」と呼ばれるものもありますが、これは基本的に体内に残るものです。例えば、心臓弁膜症の治療で使用する心臓の人工弁などがそうです。ただ人工弁を心臓に入れる際、周りを20針ぐらい縫う必要がありますが、この縫合糸の費用は請求できないのです。
昨年春の改定では、試案との乖離が大きい301術式の報酬を上げていただきましたが、まだまだ不十分です。これについては、引き続き要望していきたいと考えています。
(残り1604字 / 全2210字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】