昨年春の診療報酬改定では、DPC制度に参加するII群病院の実績要件3に、劇症肝炎など25項目の疾患・病態が「特定内科診療」として新たに加わった。130以上の学会でつくる「内科系学会社会保険連合」(内保連)の提案が実現した形だ。内保連の工藤翔二理事長は18年度の改定に向け、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)のC項目に、特定内科診療を追加するよう求めている。【聞き手・構成=敦賀陽平】
次の改定でも、薬や医療機器といった「物」から「人」の技術の評価に変えてほしいという、内保連の基本スタンスは変わりません。新たな診療報酬体系が1958年に導入されて以降、物を中心としたゆがんだ評価が続いています。これを是正することが、内保連の長期的な課題です。
内保連では今回、未収載155件、既収載288件の計443件の医療技術の評価を要望しました。昨年春の改定時よりも38件増えています。また、医学管理など58件と医薬品49件についても、併せて提案しました。
前回の改定では、内保連の委員会が考案した特定内科診療(内保連グリーンブック)が、DPC制度のII群病院の実績要件3に追加され、高度な内科系技術を評価してほしいという内保連の主張がようやく実現しました。
一方、看護必要度に新設されたC項目(手術後の状況などを評価)には、「救命等に係る内科的治療」が加わりましたが、対象はKコード(手術番号)がある外科的処置だけです。今後、7対1入院基本料を算定する急性期病院が外科系のみとなり、重篤な内科疾患の診療体制の弱体化が懸念されます。7対1を維持するため、内科系疾患の入院を制限するといったモラルハザードも起こりかねません。
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