政府が来年春の診療報酬改定で評価する方針を示し、その動向に注目が集まる遠隔診療。あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」の医療での活用を広めようと、昨年秋に「IoMT学会」が発足した。代表理事を務める順天堂大(東京都文京区)医学部眼科学教室の猪俣武範氏は、米国のシリコンバレーになぞらえ、大学病院が集まる東京・お茶の水を「“お茶コンバレー”として発信したい」と意気込む。【聞き手・敦賀陽平】
―学会を設立した経緯を教えてください。
米ボストン大のビジネススクールでMBAを取得し、2015年秋に帰国しましたが、留学中、「日本に戻ったら何で勝負をしようか」と考えていました。
当時、IoTという言葉が浸透し始めたころで、ハーバード大で眼科の基礎研究に携わっていたこともあり、医療とIoTをつなぐために何かしようと思い立ったんです。そして昨年11月、3人の仲間と共にIoMT学会を立ち上げました。スポンサーがいなかったため、最初は手弁当で運営を始めました。
IoMTとは「Internet of Medical Things」の略で、医療機器とヘルスケアのITシステムをオンラインのコンピューターネットワークを通じてつなぐというものです。学会は医師、研究者、企業の3者が連携し、医療分野に特化したIoTの研究を行うプラットフォームの位置付けで、▽遠隔診療▽ブレスレット型ウェアラブル端末▽米アップル社の「リサーチキット」による大規模臨床研究▽AI(人工知能)―などが研究の主な対象例です。
今後、医療分野でのIoTの活用が進めば、医療者が便利なだけでなく、患者さんにとっても、さらなる治療効果が期待できるかもしれません。さらに企業側には、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。
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