病院などの敷地内にある薬局の開設が昨年、事実上解禁された。医薬分業の在り方に対する政府の規制改革会議(規制改革推進会議の前身)の問題提起が端緒で、一部の薬局が病院の敷地内に店舗を構えて処方せんを受け付けている。規制改革推進会議の林いづみ医療・介護・保育ワーキング・グループ座長(桜坂法律事務所弁護士)は次の段階として、医師や薬剤師の業務をめぐる規制が柔軟になり、「医薬協業」が進んだ未来を思い描いている。【聞き手・佐藤貴彦】
■個人の声を政策に反映
―規制改革推進会議の5月の答申には、新医薬品の14日間処方日数制限の見直しなど、これまでに規制改革会議が求めた規制改革と重なる項目も入っています。
規制改革会議が処方日数制限の見直しを求めたのは2015年のことです。そのきっかけは、専門的な治療のために遠くの病院まで通院していて、日数制限があると新薬を使いづらいという患者さんの声でした。
団体の声は国に届いても、個人の声を反映させる場はなかなかありません。そんな声を政策につなげるのが規制改革会議の役割で、規制改革推進会議もそうだと思っています。
―中央社会保険医療協議会で見直しが議論されましたが、規制をなくすと安全性を保てないという理由で見送られた経緯があります。
制限をなくすほかに、例えば30日間に延ばすやり方も考えられます。そうした議論も求めたつもりでしたが、うまく伝わらなかったのでしょう。今回の答申では、日数の延長も選択肢に入れて再検討するよう求めています=図1=。
■閣議決定しても「怖い」
―規制の改革は毎年閣議決定されてきました。規制改革推進会議に残された課題は少ないのではないですか。
決まったことがちゃんと進めばいいのですが…。担当者から話を聞くと、全然できていないと思うことが少なくありません。
(残り2169字 / 全2928字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】