近森病院(高知市、452床)は今年1月、体制を一新した。社会医療法人近森会の近森正幸理事長が32年間務めた近森病院の院長職を息子の正康氏が引き継いだ。優良経営で知られ、2015年には114床を増床し338床から452床になった同院だが、16年度の診療報酬改定の影響で売り上げが落ち、借入金の返済時期と先行的人的投資による人件費のアップが重なったことで、一時的に赤字になった。
積極的な設備投資と人材確保は、急性期病院に必須だが、リスクを抱えることも確か。危機を迎えた中で世代交代を進めた近森理事長に聞いた。【大戸豊】
■「人口が少なく、重症患者の層が薄い」
近森病院は11年に救命救急センターに指定され、救急車の受け入れを伸ばし、16年の受け入れ台数は年間約7000台となった。ただ、高齢化と人口減少、病床過剰の影響は表れている。
近森理事長は「高知県は人口72万人を切り、重症患者の層も薄い。そのような中、県内の6つの基幹病院で激しい競争がある」と指摘する。
高知市周辺の重症患者は、市内の5つの基幹病院に集中するが、それを取り囲む中小一般急性期病院の状況は厳しい。高知県には3年前、100床以上の急性期病院が14病院あったが、前回の診療報酬改定後の16年10月には10病院にまで減った。4病院は地域包括ケア病棟にシフトしたり、病床を減らしたりした。
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