2016年度診療報酬改定では、認知症ケア加算が新設された。認知症患者の病棟でのケアや多職種チームを評価するもので、いわゆる認知症サポートチーム(DST)の普及を促す評価と言える。ただ、加算1には、認知症看護認定看護師などが参加するという要件があり、ハードルは高い。しかし、今後の認知症ケアの方向性が示されているのは確かだ。取得した病院ではどのような対応を進めているのだろうか。【大戸豊】
■患者のフォローと教育のためにチーム立ち上げ
群馬県沼田市にある内田病院は、急性増悪した高齢者を受け入れることが多い慢性期病院だ。認知症対応を得意としており、身体拘束ゼロを掲げる。院内に老人看護専門看護師がいることもあり、昨年4月に早々に認知症ケア加算1を取得している。
内田病院では、15年の夏ごろからDST活動を始め、チームは一般障害者病棟(37床)、回復期リハ病棟(50床)、地域包括ケア病床(12床)のすべてを回診している。
田中志子理事長は、栄養サポートチームのように、認知症のケアについても、チームで病棟回診する方が、効率と質を効果的に上げられると考えていた。
DSTを立ち上げたのは、患者をフォローし、職員の教育を進めるためだ。同院のもの忘れ外来の看護師は認知症対応のスキルを磨けるが、そのことを病棟に伝えるのは難しかった。また、看護師も外来だけで手いっぱいで、入院した患者や退院して施設に移った患者をフォローできていなかった。知識や技術を病棟や介護施設にも広げ、切れ目なくフォローできれば、患者の状態はより安定すると考えた。
中央が田中理事長
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