すべての都道府県の地域医療構想が出そろい、2025年に向けた病床再編の議論が本格化している。最大の焦点は、圧倒的な不足が見込まれる回復期病床の確保だ。万が一、協議が難航した場合、都道府県知事は公的な医療機関(※編注)に対して、病床機能の転換を指示できることになっている。今後の一つのカギを握る公的病院、その“御三家”とも言える済生会、厚生連、日赤の7対1病床の動きを取材した。【敦賀陽平】
昨年春の診療報酬改定では、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の項目が大幅に見直され、「重症患者」を判定する基準も広がった。これに伴い、一般病棟7対1入院基本料の要件の一つとなっている重症患者の割合は、「15%以上」から「25%以上」に引き上げとなった。
一般病床の過半数を占める7対1病床の削減に向け、国がアクセルを踏み込んだとも言えるが、厚生労働省によると、一般病棟7対1入院基本料の算定回数は、13年度をピークに減少傾向にある。また、平均在院日数の短縮などに伴い、7対1病床の稼働率が低下していることも分かっている。
※編注 地方独立行政法人、日赤、済生会、厚生連、共済組合、健康保険組合、JCHO等が開設する病院
●昨年7月時点で363床減―済生会
昨年春の改定後、済生会、厚生連、日赤の7対1病床はどう動いたのか―。
済生会が運営する79病院のうち、15年7月1日時点で7対1を届け出ていたのは50病院。病院数は、改定後の翌年同月も変わらなかったが、7対1病棟を複数抱える7病院が、一部の病棟を地域包括ケア病棟(5病棟)や回復期リハビリ病棟(4病棟)に転換。これに伴い、7対1病床の数は363床減の1万4090床となった。
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