丸山泉理事長(英国家庭医学会名誉フェロー)
「例えば、Choosing Wiselyが米国では大きなムーブメントになっていますが、短絡的に医療費の削減と直結されると、患者や家族と医療側での対話によって共有された価値がなおざりになる恐れがあるので、分けて考えなくてはいけません」―。
丸山理事長は、米国発のChoosing Wiselyは、患者中心の医療の医療側からの新たなムーブメントとして評価をしつつも、医療費削減と同時に語られてしまうと、価値に基づく医療が軽視されると警戒する。
特集「Choosi ng Wisely」 持続可能な医療のために】
研修医のChoosing Wisely(2016/07/14)
医学生のChoosing Wisely(2016/06/29)
日医・横倉会長×徳田医師対談(2016/06/27)
若手医師のChoosing Wisely(2016/06/09)
医療現場のChoosing Wisely(2016/06/02)
Choosing Wiselyは医療肯定(2016/05/26)
丸山理事長にインタビューした。
米国のChoosing Wiselyをそのまま、日本に導入するときには注意が必要です。Choosing Wiselyには、過剰医療は患者のためにならない、医師と患者の関係の中で、提供している医療が適切なのかという日本とは比較にならない、米国の医療制度の抱えている大きな問題の反作用的な要素があるのです。
患者に対して無用な負荷、つまり無駄な検査をしたり、無駄な薬を処方したりするようなことをなくそうということです。もちろん、Choosing Wiselyの結果、医療費が抑えられる効果はありますが、それはむしろ後付けであると考える方がいいでしょう。
このムーブメントが、医療費財政の厳しい日本に、短絡的に適用されるとなると、Choosing Wiselyが医療費を適正化する道具になり、Choosing Wiselyの本来の目的とする、あえて言えば価値に基づく医療Value based medicine(VBM)から、懸け離れてしまう恐れがあります。
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