訪問看護は、2016年度の診療報酬改定でどのような影響を受けるのか。地域包括ケアの中で大きな役割が期待されているものの、人手不足や小規模経営などのため、25年に向けた展開が見えにくい部分もある。全国訪問看護事業協会の清崎由美子事務局長に、改定のポイントと今後の訪問看護ステーションの運営のあり方などを聞いた。【大戸豊】
16年度改定では、退院支援に注目が集まった。この一環として、病院が入院していた患者に対し、訪問指導を行った場合、「退院後訪問指導料」(580点、1日につき)を取得できるようになった。これに伴い、訪問看護ステーションの看護師が同行した場合、「訪問看護同行加算」(20点)が取得できる。
清崎氏は、病院の看護と在宅での看護を切れ目なく続けるための方向性が示されたことについて評価している。
同協会では、病院看護師と訪問看護師で一緒に行う退院支援研修会があるが、病院の看護師が退院後の患者の在宅での生活をイメージできるようになることがポイントの1つという。
患者が家に戻って慌てて在宅医を探したり、医療材料を調達したりするなど、病院と在宅では退院調整の考え方にはまだギャップがあるという。
今回の評価では、病院の看護師が患者の家を訪問し、訪問看護師と顔を合わせ、病院での看護を引き継げるようになるほか、病院の看護師が「家に帰すのは無理」と考えていたような患者が、実際に在宅で暮らせているのを見て、考え方が変わることも期待できる。
ただ清崎氏は、病院の評価に比べ、訪問看護側の加算が付かなかったのは残念と語る。とはいえ、訪問看護師が積極的に同行し、在宅復帰の実績を積み上げていけば、次の評価につながるとみている。そして、訪問看護師は、引き継いだ患者の状態を病院にフィードバックし、病院の看護師と、退院支援や在宅療養などについてお互いの課題を話し合うことで、良い循環を生めると考えている。
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