2016年度診療報酬改定で新設された「退院支援加算1」の施設基準は、退院支援などの担当者を2病棟(計120床)ごとに専任配置する要件があることなどから、病床数が多い大病院には不利と考える向きもある。そんな中、横浜市金沢区の横浜南共済病院(一般病床565床)は5月1日付で同加算1を届け出た。同病院の佐竹みゆき看護部長は、厳しいと言われる施設基準に苦しめられるどころか、「反対に、すごく助かっています」と話す。【佐藤貴彦】
同病院では、救急医療や急性期医療だけでなく、患者の退院支援にも積極的に取り組み続けてきた。
例えば、訪問看護は1995年に開始。2010年には訪問看護ステーションを立ち上げた。また、佐竹部長が中心となって10年ほど前に設置した「退院支援推進委員会」で、退院が難しい要因を持つ患者を入院直後に抽出し、多職種による支援につなげるシステムを構築。以来、試行錯誤を繰り返して精度を高めてきた。
今年3月末までは、退院支援加算1の前身とも言える「退院調整加算」を算定。同加算の施設基準は、退院調整の担当者を専従・専任で各1人以上配置することなどだったが、同病院では看護師1人と社会福祉士3人の計4人が退院調整を担当していた。
佐竹部長は同病院が退院支援に積極的に取り組む理由をこう説明する。「空床がないと急患を受け入れられません。地域に療養型の病院や施設が少ない中、患者さんが帰れるなら在宅に帰そうというのが昔からの考え方で、どうやったら帰れるかを考えて準備してきました」。
さらに、急性期病院が退院支援を怠ると、患者が家に帰れなくなる懸念があるとも指摘する。入院期間が長引くにつれ、患者家族が退院後の受け入れに消極的になるケースもあるためだ。
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