2016年度診療報酬改定での一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の見直しをめぐり、「手術等の医学的状況」を評価するC項目の新設などが注目を集めている。ただ、看護必要度を正しく評価する上でさらに注目すべきは、評価基準などを定める「手引き」の見直しだ。新しい看護必要度の評価のポイントなどを識者に聞いた。【佐藤貴彦】
従前は原則、患者が入院している病棟の看護職員が実施した処置・介助などに限られていたが、薬剤師や理学療法士らが実施した場合も評価の対象にできるルールに見直された。ただ、評価の対象になるのは、介助などが患者の入院する病棟内で実施された場合に限定される。
また、看護職員が実施しないと評価対象にならない項目も残っている。薬剤師らでも認められるのは、手引きで「看護職員等」が実施すると表記されている評価項目で、B項目の各評価項目と、A項目の「呼吸ケア」、「抗悪性腫瘍剤の内服の管理」、「麻薬の内服、貼付、坐剤の管理」、「免疫抑制剤の管理」が該当する。
そうした項目に限り、薬剤師らが看護必要度を評価することもできるが、その場合には看護職員と同様、評価の精度を高めるための院内研修を受ける必要がある。10月以降も「一般病棟7対1入院基本料」(7対1)などを届け出る予定の病院では、遅くとも9月1日から院内研修を受けた人が評価を行う必要があることから、より早期の研修が求められる。
■2年ごとの外部研修で病院全体の評価精度を高める
評価の手引きは、評価の対象となる処置などを明確にするだけでなく、評価項目ごとの選択肢の判断基準や、判断の留意点なども整理している。新しい手引きで、看護必要度を正しく評価するために気をつけるべきポイントは何か-。院内研修の担当者らが受講する外部研修で講師を務める田中彰子・横浜創英大教授は、分からないことを分からないままにしておかないことが重要だと指摘する。【聞き手・構成=佐藤貴彦】
16年度改定で、これまで以上に正確な評価が求められるようになったと言えるかもしれません。なぜなら、7対1を算定する病院はみな「データ提出加算」を届け出て定期的にDPCデータを提出していますが、10月分から、看護必要度の評価結果をDPCデータの一部として提出することになっています。これにより、特にA項目の評価の精度は可視化されます。
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