AED(自動体外式除細動器)の使い方などの応急手当の方法を知っていたとしても半数近くの人が、実際に応急手当が必要になった時に「実施できない」と回答したことが東京消防庁の2024年「消防に関する世論調査」で分かった。「自信がない」などを理由に挙げる人が多く、応急手当の際の心理的ハードルがあることが調査から浮き彫りになった。【斯波祐介】
調査は稲城市と島しょ地域を除く18歳以上を対象に実施し、1,645人から回答があった。
周りの人が急病やけがで心肺停止になり、応急手当てが必要となった際、心臓マッサージ、人工呼吸、AED使用のいずれかができるかとの問いに対し、「方法を知っているから実施できる」は、前回調査比2.6ポイント減の29.7%だった。「方法を知らないので実施できない」は0.2ポイント増の34.6%、「方法を知っているが実施できない」は1.7ポイント増の33.6%だった。
応急手当講習を受講した経験のある人のうち、「方法を知っているが実施できない」と回答した人は45.8%。また、講習を受けたことがないとした人でも21.7%が同じ回答をした。これらの人に対して実施できない理由を尋ねたところ(複数回答可)、「自信がない」が74.7%と最も多かった。ほかにも「かえって悪化させることが心配」(39.2%)や「誤った応急手当てをしたら責任を問われそう」(32.5%)、「怖い」(25.1%)などが目立った。
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