群馬県みなかみ町の小学校で行われた定期健康診断で学校医に下半身をのぞかれたと児童らが訴えた問題を受け、日本医師会の渡辺弘司常任理事は25日の定例記者会見で、各健診項目の意義を明確にした上で必要に応じて項目の見直しを行うなど、学校健診の在り方について検討を求める要望書を文部科学省に提出したことを明らかにした。【渕本稔】
要望書は、8月21日に提出した。
渡辺常任理事は会見で、学校保健安全法では健診を行う項目について記載があるものの内容にまでは言及していないからこそ、さまざまな状況下で臨機応変な対応ができるメリットがあると指摘した。
一方で、6月に起こった群馬県みなかみ町の小学校での健診の問題では、脱衣を行うべきか否かという本筋からずれた議論が行われているとし、「各健診項目を行う意義を明確にする必要がある」と強調。その上で、「場合によっては見直しが必要な項目も出てくるのではないか」との考えを示した。
渡辺常任理事はまた、「文科省と共同で学校健診を実施する上での留意点をまとめたリーフレットを作成した」と述べた。それに伴い、文科省は9月18日に、健診に関するこれまでの通知や事務連絡などの内容を踏まえ、健康診断の実施に当たって留意すべき事項を改めて取りまとめ、リーフレットと共に周知する事務連絡を都道府県指定都市教育委員会などに出した。
リーフレットでは、身長や体重、栄養状態といった健診項目以外に、その他の疾病や異常の有無を調べるために健診項目を追加する場合は、その目的を明らかにするとともに、義務付けではないことを保護者などに周知し、理解と同意を得た上で実施する必要があると強調している。
渡辺常任理事は、これまで学校側が学校医に対して意見を言いにくい状況があったためにさまざまな問題が生じたと考えられるとし、このリーフレットによって、「学校医と学校側が健診についての共通認識を深め、円滑に学校健診が行われることを強く期待したい」と積極的な活用を呼び掛けた。
【関連記事】