第2話 健康な暮らしは温度差のない住まいから
“医住同源”を本気で探るスウェーデンハウス
住宅メーカー・スウェーデンハウスとのタイアップ記事「“医住同源”を本気で探るスウェーデンハウス」。第2話の舞台となるのは千葉県夷隅郡大多喜町にあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の「大多喜ガーデンハウス」。スウェーデンハウスとして建築した初のサ高住で、竣工から8年目を迎える。高気密・高断熱が特徴の住宅が、入居者の健康に大きく寄与する。
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「毎日楽しく暮らしています」。こう笑顔で話すのは入居者の八木とくさん(95)。「食事はおいしいし、職員の皆さんはとてもいい人ばかりで本当に満足しています」。日々の暮らしを楽しんでいる様子が、張りのある声からも伺える。八木さんは2019年に住み始めたが、それ以降、「風邪なんてひいたことはない」と誇らしげな表情を浮かべる。
大多喜ガーデンハウスのある大多喜町は房総半島の真ん中に位置する。比較的に千葉県内でも暖かいとされる地域だが、それでも1月など厳寒期になると最低気温は氷点下近くまで下がる日もある。ここには現在、80代から100歳を超える人まで14人が暮らす。統括マネージャーの齋藤正幸氏は「八木さんをはじめ入居者のみなさんが風邪をひいている姿を見たことがありません」と話す。風邪を防ぐために、睡眠や食事などに気を遣うが、「温度差の少ない住宅というのも風邪をひかない要因のひとつだと思っています」と強調する。
近年、健康面から注目されているのが住宅内の室温だ。冬場の事故として後を絶たない高齢者のヒートショックは、例えば、暖かいリビングから寒い脱衣所へ移動する際などの温度差が背景にあるとされている。住宅行政を所管する国土交通省では、温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラルの施策として取り組む「省エネ住宅」のメリットのひとつとして入浴事故リスク低減を挙げる。省エネ住宅とは、高断熱・高気密に作られ、エネルギー消費量を抑える設備を備えた住宅のこと。高断熱・高気密であることが住まいの熱をコントロールし、住まい全体を、冬は暖かく、夏は涼しい環境にする。それがヒートショックを抑えたり、住宅内での活動を活発化したり、良質な睡眠環境につながったりするというわけだ。
スウェーデンハウスは創業から40年、高断熱・高気密にこだわり続けてきた。大多喜ガーデンハウスは、そのこだわりが結集されたサ高住であろう。これを客観的な2つの数値で見てみたい。
住宅の断熱性能は「UA値」(外皮平均熱貫流率)と呼ばれる数値で示される。室内の熱が、窓などの外皮からどのくらい逃げやすいかを示すもので、数値が小さいほど高い断熱性があることを表す。UA値は、地域で基準が設けられており、スウェーデンハウスの平均は0.36W/平方メートル・kと関東地域の断熱等級5基準(0.6)を大きく下回る。
もう1つのポイントが「C値」(相当隙間面積)と呼ばれる数値だ。いくら断熱性能が高くても、すきまが多い住宅だと、部屋の中で暖められた空気は外へ流れ、外気も入りやすくなり、熱のコントロールがうまくいかない。このため、気密性能を示すC値も重要となる。数値は小さいほど気密性が高いが、スウェーデンハウスの数値は全棟平均で0.65平方センチ/平方メートルと関東地域の次世代省エネルギー基準(5.0)をこれも大きく下回る。
こうした数値に裏付けられた高断熱・高気密が特徴の大多喜ガーデンハウス。入居者の八木さんは「夏は涼しく、冬は暖かく、本当に快適な暮らしをしています」と笑顔を見せる。食事時になると、入居者は食堂に集まる。テレビを見ながら、談笑が始まる。大多喜ガーデンハウスの入居者の大半は要介護度2以下だ。
興味深いのは、要介護度が住み始めから変わらない入居者が目立つことだ。現在、14人が大多喜ガーデンハウスで暮らすが、半数近くは、入居当時のまま。100歳を超える入居者は、住み始めてから3年が過ぎた今も、入居当初時の要介護1から変わらない。また、要介護度1の状態で住み始めた95歳の入居者は4年後のいま要支援1で暮らしている。齋藤氏は「1年中、安定した室温のため、部屋に引きこもる入居者はおらず、建物内を活発に動き回る姿が目立ちます」と普段の暮らしぶりを明かす。
大多喜ガーデンハウスは、同町にある医療法人の川崎病院が開設した。川崎病院へは車で10分もかからない。緊急時は川崎病院が対応するという体制を整備する。入居者の急な入院にも対応できるよう、同院理事長の宮野武氏は「入居者のための病床を基本的には確保しています」と説明する。川崎病院の大下正晃院長が月に1回、大多喜ガーデンハウスの入居者を対象に訪問診療を行っている。入居者の健康状態に気を配る宮野氏だが、「本当にみなさん元気だ」と強調。その要因のひとつに、宮野氏も、高断熱・高気密の住宅が入居者の元気な暮らしに貢献していると考える。
宮野氏がサ高住の開設したきっかけはスウェーデンハウスとの出会いだ。それまで40年間、比較的モダンな鉄筋コンクリート造の一戸建て住宅で暮らしていた。子どもが巣立ち、家族構成に合わせた住まい方をしようにもリフォーム・リノベーションが容易にできず、また、室内の湿気(カビ対策)や温度調整への不満も抱えていた。「妻とのんびり暮らしたいと思い、木造の戸建住宅を考えていたところ、妻が書店でたまたまスウェーデンハウスの住宅を紹介した本を見付けた。その本には、聖路加国際病院の日野原重明先生が推薦書を書かれていた。健康にいいと」(宮野氏)。それが縁となり、自宅をスウェーデンハウスで建てた。暮らし始めた途端、住宅の良さを実感。「冷暖房にあまり頼らなくとも、1年中快適に過ごせる。高断熱・高気密の住宅での暮らしは、ヒートショックなど温度変化への配慮が特に大切な高齢者には、とてもいい住環境だ」。こう考えた宮野氏は、その頃から盛んに作られるようになったサ高住の開設を決断した。
大多喜ガーデンハウスで暮らす人の多くは、同町や近隣市町村などから移り住む。宮野氏は東京や横浜など県外からの移住も歓迎する。大多喜町は房総の小江戸とも呼ばれ、小高い丘の上に立つ大多喜ガーデンハウスから「大多喜城」が一望できる。徒歩圏内にはショッピングセンターがあり、そこから東京駅まで1本で行ける高速バスも通っている。車を使いアクアラインを経由すれば首都圏からも約1時間という好アクセスな立地環境。周囲にはゴルフ場も数多くあり、アクティブシニアにとっても魅力のあるエリアだ。
宮野氏は「高齢者の住まいという点で、大多喜ガーデンハウスは理想の場所だ。それらの魅力を楽しむためには健康であることが必要。住宅の室温というキーワードに今後注目が集まるのではないか」と期待する。
■スウェーデンハウスHP
https://www.swedenhouse.co.jp/
■大多喜ガーデンハウス
https://kawasaki-hospital.jp/index.html
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