厚生労働省の大島一博老健局長は19日に開催された「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」で、「これからの地域づくり戦略」(1.0版)の冊子を公表した。今後、高齢化が進み人手不足の時代が来ることから、介護は保険給付という柱だけを頼りにするのではなく、本人の力や住民相互の力も引き出して、介護予防や日常生活支援を進めていくことをもう一つの柱にする必要があるとしている。大島局長は、「この2つを車の両輪」として進め、住民の暮らしの安心・満足度を高めていく必要があると説明した。【齋藤栄子】
■国と自治体の「コミュニケーションツール」に
「これからの地域づくり戦略」(1.0版)は、▽集い編▽互い編▽知恵を出し合い編―の3部で構成。体操などの「通いの場」づくりや、老人クラブなど地域に既にある「互助の育み」で積極的な介護予防と日常生活支援に取り組み、「地域ケア会議」で専門職が「知恵を持ち寄る」などで生活の課題全般に対応することは、基礎的自治体である市町村の存立に関わる根源的な役割だとし、高齢福祉政策にとどまらない「地域共生社会」への取り組みを求めた内容。
冊子では、これを国と自治体の「コミュニケーションツール」と位置付けて、「国として、もっとこういうことをやるべき」など地域づくりのために一緒に何ができるか意見を求めていて、議論を進める中で「何度も版を改める」としている。冊子を通して、積極的に取り組んでいる自治体の事例を他の自治体にも広げたい考えで、大島局長は、この手引を「誰に対して一番お伝えしたいかというと市町村長」だと述べた。
「これからの地域づくり戦略」(1.0版)むすびより抜粋
■労働関係法令違反は指定取消・停止処分、都道府県から新たな法令の周知を
会議では、▽次期介護保険制度改正▽認知症施策の新たな推進体制―などについて、老健局の課長らから説明があった。
山本亨介護保険指導室長によると、介護サービス事業者に対する「指導監査業務」について、運営基準違反や介護報酬の不正請求、利用者への虐待行為などにより「指定取消・効力の停止処分のあった施設・事業所」は、2000-17年度で2445事業所。15年度227件、16年度244件と増加が続き、17年度は257件で過去最多となった。17年度の処分の理由では「介護給付費の請求に関して不正があった」が最も多かった。
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