地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長は、2018年度診療報酬改定を通じ、地域包括ケア病棟では、より在宅復帰を意識した運営が進むと見ている。次回改定以降は、病床稼働率を高めることに多くのエネルギーを費やすのではなく、病院が在宅・生活復帰支援を充実させることが重要であり、将来的には日常的な生活支援評価の改善率をアウトカム評価の基軸に据え、それに応じたインセンティブを設定すれば、地域包括ケアシステムの本旨である「住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで」に近づけるはずと訴える。【大戸豊】
18年度は診療、介護、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定で、「惑星直列」などとも形容されるが、仲井会長は「QOL(Quality of Life)とQOD(Quality of Death)を高める」ことが基軸になっていると感じるという。
具体的には、介護保険の自立支援や保険者に対する健康増進へのインセンティブ、高度・先進医療の保険収載などで、健康寿命を延伸しQOLを向上させる。QODについては「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を活用して向上させる方向だ。そして、看取りの指針策定や、QOLを意識した医療従事者の負担軽減、地域共生型社会実現等への評価が設けられた。
仲井会長は、「地域包括ケアシステムの構築に際し、地域住民のQOLを高めようというメッセージであり、それは人生の最終段階をどのように迎えるかを考える、つまりQODの向上と表裏一体だ」と話す。
■介護医療院との組み合わせは「小さな地域包括ケアシステム」
今回の改定で、地域包括ケア病棟に求められる機能も変化している。
地域包括ケア病棟を持つ病院は今年2月末時点で2137病院、推計で6万8200床に上る。仲井会長は今回の改定で、規模の小さな病院における地域包括ケア病棟の病床数はさらに増加するとみている。
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