SNSは本当に必要か?全日本病院学会で探る
病院広報アワード受賞の洛和会と松下記念病院が発表
SNSは本当に必要か-。こんなテーマが、9月29日に京都市内で開かれた「第65回全日本病院学会」で挙がった。病院広報への関心が最近高まっているが、中でもSNSを使った取り組みが目立つ。病院広報アワード2024「経営者部門」大賞を受賞した洛和会理事長の矢野裕典氏と、「広報担当―その他部門」で優秀賞に輝いた松下記念病院経営企画室室長の乗替寿浩氏が講演し、参加者は病院広報の手法を探った。【石川紗友里】
【関連記事】
講演のテーマは「SNSは本当に必要か?~病院を活かせる次世代広報のカタチ~」。
洛和会の矢野氏は、自身が食事をする様子を配信するだけで動画の再生回数が増えたと報告。「洛和会音羽病院の古い食堂でご飯を食べるだけの動画で、再生回数が8万回、9万回まで伸びた」と明かした。
矢野氏は「トップがまずやることが大事で、コンテンツとしてコストパフォーマンスが高い。トップがSNSをやればまず職員が集まり、集まった職員がSNSをやって、さらに職員も患者も増える。三方良しのSNS戦略だ」と強調した。
「SNSは本当に必要か?」という問いに対しては「必要かどうかより、やるしかない」と一蹴。「SNSは若い人のものだけではなく、80歳の会長の動画が100万回再生をばんばん出しているアカウントもある。いまコンテンツとして一番バズるのは理事長や院長だと思う。運用は若い人に任せて、できることから始めてみてはどうか」と提案した。
松下記念病院の乗替氏は、LINEについて触れた。同病院は、患者との直接接点を広報活動で重視する。その代表例が市民公開講座だ。
同病院は、市民公開講座の申込窓口をLINEに一本化している。それによりLINEの友達登録者数は約5300人に上っており、「友達登録が増えた」とする乗替氏は、「他の病院で友達登録者数が多い事例を見ても、オンライン面会や診療予約、診療呼び出し、WEB問診など、他のサービスとの組み合わせで活用しているところが多い」と分析。「SNSが必要か?」という問いに対しては、必要であることを踏まえ、「重要なツールであり、他の取り組みとかけ合わせて運用するべき」と唱えた。
また、LINEを使った市民公開講座への参加登録が、費用対効果を求める経営層の安心材料の1つに。乗替氏は、「経営層から患者さんどれだけ増えるの?といまだに指摘される病院もあると聞く。経営層の期待値をどこに設定するかが大事で、まずは市民公開講座の参加者を増やしましょう、というところに経営者の期待値を置いてあげると院内で広報活動に取り組みやすくなる」と話した。
医療介護経営CBnewsマネジメント
【関連記事】