北見赤十字病院、医師の働き方改革をLINE WORKSで実現
上林副院長が講演、CBセミナー
日本赤十字社北見赤十字病院では、ワークスモバイルジャパンが提供するビジネス向けのコミュニケーションツール「LINE WORKS(ラインワークス)」を活用しながら医師の働き方改革を実現しています。3月末に、「医療DXとどう向き合うか~病院のDX戦略、働き方改革、ロボット活用~」をテーマに行われたCBセミナーで、同副院長で、患者支援センター長、 消化器内科・腫瘍内科部長の上林実氏が、取り組みについて語りました。
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■オホーツク医療圏をささえる北見赤十字病院の診療体制
北海道北見市にある北見赤十字病院は、1935年に開設され、北海道指定の地方センター病院、地域医療支援病院として3次救命救急センターを有し、網走市や紋別市などを含むオホーツク3次医療圏で中核的な役割を担っています。オホーツク医療圏は、全国平均と比較して高齢化が進んでおり、医師の少数地域となっています。
2022年の同科の延べ患者数は、外来で2万4,486人、救急救命センターで761人、入院で1万7,646人。これに対して同科の診療は、胆膵など5分野の専門医6人、専攻医4人の計10人と初期研修医1人~2人の体制です。専門医6人を「上級医」と位置付け、各分野のリーダーとして全医師を指導することで、全医師が専門分野にとらわれずに「消化器内科医」として外来、入院、救急、時間外すべてに対応するようにしています。
北見赤十字病院では、「暦の土日祝日の半分は休もう」という目標を掲げ、医師全員が交代で休みを取れる環境を整備しています。休みを取りながら医療の質を担保するには「いかにタスクシェアをしていくか」、「全医師が同じように考え、同じように患者に説明をし、同じように指示を出せるようになれるか」が重要であると話し、資料やスケジュールの管理、科内コンサルテーションなどの課題を指摘しました。
■院内の課題解決にLINE WORKSを活用
▽タスクシェアは「グループトーク」から
医師の働き方改革では、タスクシェアをどのようにするかが成功の大きなポイントの1つです。上林氏が「すごく大事」と強調するのが、予約外の対応や病棟での容態急変。「これまでは1番助け合わなければならない緊急事態の時に、どこで誰が困っているのか、誰の助けが必要なのか、あるいは誰が助けられるのか、こういったことが全然分かりませんでした」(上林氏)。
現在はLINE WORKSのグループトーク機能によって、他の医師へのヘルプ依頼が容易にできています。「予約外がかなり来ているのでヘルプできる外来の先生がいたらお願いします」とグループトークで共有すると、その後、2名の医師が応答。情報発信から30分程度で、急性虫垂炎の患者を外科に紹介して、肝炎の患者さんには病状説明を終え入院手続きが開始されました。チームが一体化し、迅速なタスクシェアが可能になりましたと上林氏は語りました。
▽資料・マニュアルをグループトークのフォルダでファイルを共有・更新
個人管理になっていた資料やマニュアルは、LINE WORKSのグループトークのフォルダに集約しています。いつでも最新の資料が手元で確認でき、ペーパレス化・情報共有の効率化が進みました。
▽カレンダー機能で医師の予定を見える化
どこで何をしているのかわからなかった医師の予定は、LINE WORKSのカレンダー機能で管理をしています。予定が見える化された結果、相手の予定を確認してから電話をかけることができ、電話をかける側の心理的なストレスの軽減、電話を受ける側の着信数の減少につながっています。
▽テンプレート機能を活用し相談業務を改善。残業時間の削減に貢献
マニュアルを整備し、業務フローを標準化しますが、全医師が消化器内科医として外来、入院、救急・時間外すべてに対応する体制の中、個別の相談業務がなくなるということではありません。電話では済ませられず、対面で相談となることが多い。忙しい時間を避けた業務終了後の医局で「今ちょっといいですか」「いいよ」と相談業務が始まります。
こうした急がない相談業務に対しては、LINE WORKSのテンプレート機能を活用しています。相談する側は、相談したい内容をテンプレートに沿って記入しトークで送ることで、相談される側は、業務のスキマ時間に確認し相談に答えるという流れができました。その結果、時間外業務の削減・ナレッジ共有にもつながっています。
その他にもセミナーでは、診療科を横断したカンファレンス調整や地域連携の受け入れ業務改善、アンケート機能を活用した医師や部門の意見収集、医療用画像管理システムの連携などの活用例を紹介しています。
■コミュニケーションの活性化が働き方改革につながる
医師の働き方改革に、大きな貢献をするLINE WORKS。上林氏は言います。「LINE WORKSを使って、いろんな課題が解決できるようになりました。そして1番大きかったのは、電話が減ったことです。電話が減ると、逆説的ではありますが、実はコミュニケーションが良くなり、働き方改革が進んでいきます。皆さんもLINE WORKSのようなツールを活用してみることをおすすめします」
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