ミサワホーム、高齢者住宅で新たな事業モデルを提案
全国4カ所(札幌・福岡・大阪・仙台)でセミナーを開催
ミサワホームグループとCBnewsは9月に、札幌(2日)、福岡(10日)、大阪(16日)、仙台(18日)の全国4カ所で、「10年後も地域で生き残るために 同時改定に負けない医療・介護戦略セミナー~次の一手がみるみるわかる~」を共同で開催する。
2018年度の診療報酬・介護報酬の同時改定を前に「選ばれる」施設と「捨てられる」施設の二極化は鮮明になりつつある。また、制度発足から6年を迎えるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も同様に、明暗が分かれてきた。
一方、団塊世代のすべてが後期高齢者になる2025年に向け、サ高住に求められる役割は依然大きく、医療機関・介護事業者が高齢者住宅について積極的に取り組み、効率的に運用することは地域の医療・介護を持続的に支えていくために重要であることは間違いない。
セミナーで講演するミサワホーム営業企画部資産活用企画課の高橋元樹氏は、「財政健全化が最優先され、医療費・介護費はより重度者へ向けられる一方、軽度者への支出は抑えられる傾向にあります。在宅復帰への流れが強まる中、本来の自宅に戻れない人の受け皿として高齢者住宅はまだまだ欠かせません」と強調する。
ミサワホームは今年で創業50年。ハウスメーカーとしてデザイン・技術力に高い評価を受け続けている。また、1993年からは自社で介護付有料老人ホームを中心とした介護事業を展開しており、今回全国4カ所のセミナーで、医療機関・介護事業者に対して、地域で生き残るための方策を提案する。
全国4カ所(札幌、福岡、大阪、仙台)のセミナーの詳細については、ここをクリック。
【関連記事】
■選ばれる高齢者住宅 3つのタイプ
以下は、高橋氏へのインタビュー。
玉石混交の高齢者住宅市場の中で、勝ち残っていくためには、「選ばれる理由付け」が重要だ。自身の強みと地域のニーズを分析し、求められるコンセプトづくりをすることが差別化の第一歩となる。
これまでお手伝いしてきた中で、早期に満室となった高齢者住宅の特徴の一つとして、認知症専門医と取り組む認知症対応型や、栄養と水分管理を徹底した人工透析対応型、末期がんや難病の方のためのホスピス型といった「専門特化型」が挙げられる。特色を強く出すことで、地域における専門分野のイニシアチブが上がり、さらに周辺施設からの紹介も多く獲得している。それまで運営してきた既存施設への相乗効果も実現している。
ただし、注意すべきは、コンセプトづくりの過程の中で、職員をうまく巻き込むことだ。経営者の独断で決められた運営方針は、職員に浸透せず開設後の大量離職につながりかねない。高齢者住宅運営には、職員の確保も大きな課題なので、スタッフが一丸となれる環境づくりも忘れずに取り組みたい。
行政からの信頼も獲得している「地域包括型」にも注目したい。
ミサワホームでは1993年に開設した介護付有料老人ホーム「マザアス南柏」を中心に、8カ所の拠点をネットワーク化し、「郊外型地域包括ケアモデル」を展開している。訪問介護・看護、デイサービス、ショートステイ、小規模多機能、認知症高齢者グループホーム、サ高住など、半径5-6キロ圏内に民間で可能な、ほぼすべての介護保険事業を展開することで、「自立」から「看取り」までに対応している。
また、品川では首都圏で病院や介護事業を展開する戸田中央医科グループが「次世代都市型地域包括ケアモデル」として「carna五反田」を展開している。都心部の9階建ての一つの建物の中で、サ高住、在宅療養支援診療所、居宅介護支援、訪問介護、訪問看護、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護の7つの事業を併設させている。近隣のグループ3病院とも連携することで、地域の住民にとっても地域包括ケアの拠点となっている。
同一法人で複数の事業を展開することで、職員のキャリアパスの形成もしやすくなっている。職種や能力に応じて職場をローテーションさせたり、多職種との連携でモチベーションの維持・向上にもつなげることができる。
さらに、ミサワホームが提唱している新たなコンセプトが、「在宅自立支援拠点モデル」だ。このモデルは、高齢期を迎えても住み慣れた地域で生活を継続するため、「自立支援型介護」を中心に、「医療」「生活利便施設」「地域コミュニティ」の4つの機能を一体的に提供する複合拠点だ。
「自立支援型介護」とは、積極的なリハビリテーションを通して、要介護度の改善・維持を図る注目の介護サービスだ。QOLの向上はもとより、介護者の家族の負担軽減、さらには医療費・介護費の低減も期待されている。「元気になれるサ高住」が売りとなる。
それに加えて、在宅での生活をサポートするために、訪問・往診機能を持つ、かかりつけ診療所や訪問看護はもちろん、嚥下障害や口腔ケアに対応するかかりつけ歯科医、さらには服薬指導などでかかりつけ薬剤師などが「医療」を提供する。
「生活利便施設」機能は、コンビニエンスストアやミニスーパーがその役割を担う。食材や日用品の購入だけでなく、銀行・郵便局、さらには行政の窓口機能も備える。消費活動や行政手続きといった普段の生活がコンパクトなコミュニティの中で実現できることで、住まいを中心とした生活の継続につなげていく。
また、「地域コミュニティ」を創設して、健康づくりや生きがいのほか、学びなどのメニューをそろえていくことになる。もちろん、重度化した場合でもサポートできるようにホスピス型のサ高住を併設したり、さらには施設で働くスタッフの子育て環境に寄与する保育所やシングルマザー向けのシェアハウス、レストランなどを複合させたりすることも想定されている。
■住宅メーカーならではの「建て貸し」開業サポートも
ミサワホームグループは設計・施工だけでなく、新規事業用地の紹介や、地主に希望の建物を建ててもらい、土地・建物をセットで借りる「建て貸し」開業サポートのサービスも提供している。「建て貸し」開業ならば、少しの初期投資で、土地・資産を持たずに施設を開設したり、運営したりすることが可能になる。
高齢者が住み慣れた地域で住み続けられるための拠点の整備を、病院など医療機関や自治体と連携して推進していきたい。病院の新築移転を検討していたり、リフォームのタイミングを迎えたりしている場合には、当社が提案する新たなコンセプトの導入を検討していただきたい。
全国4カ所(札幌、福岡、大阪、仙台)のセミナーの詳細については、ここをクリック。
医療介護経営CBnewsマネジメント
【関連記事】