医師の働き方、多様なキャリア構築を支援
上尾中央医科グループ
上尾中央医科グループ(AMG、埼玉県上尾市)は、首都圏に27病院を展開する関東の一大病院グループ。クリニックや介護老人保健施設なども抱え、国が推進する地域包括ケアシステムに大きく貢献している。組織力を生かしたサポート体制も充実し、急性期から回復期、慢性期、そして介護まで、医師のライフスタイルに合わせた幅広いキャリアを構築できるのが魅力だ。
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AMGは、1964年12月に設立された上尾中央総合病院を拠点に、現在1都6県で病院や老健などを運営し、「高度な医療で愛し愛される病院・施設」を理念として掲げている。14病院が集中する埼玉では、医療から介護まで、地域の実情に応じたトータルケアを提供している。
また、人材の育成にも力を入れ、横浜市と上尾市に合わせて3つの専門学校を抱えている。10年前に開設した上尾中央医療専門学校では、年間80人の理学療法士と作業療法士を養成。埼玉のグループ病院で働くセラピストの数は2100人超に達し、県全体の実に4割を占めるというから驚きだ。
さらに、認知症対策の総合戦略(新オレンジプラン)が策定されたことを受け、昨年度から、地域で患者を支える「認知症サポーター」の養成にも力を入れている。養成講座を担当する講師(キャラバン・メイト)をグループ内で育成し、年に1度の「AMG学会」のほか、各施設でも個別に講習会を開いている。
認知症の国内患者数は2012年の推計で462万人に上り、団塊の世代が全員75歳以上となる25年には、約700万人に増加すると予想されている。地域包括ケアシステムの構築が急がれる中、グループの職員約1万7600人のうち、既に約3分の1が認定を受けており、将来的に全職員に拡大することを目指す。
●前職の不満解消をサポート
グループの常勤医の数は約800人。採用活動から福利厚生、そして職場環境の整備まで、医師のサポートを一手に担うのが、AMG協議会の医師人事企画部だ。
転職の相談があれば、職員は日本全国を駆け回り、採用条件のヒアリングや面接の調整といったきめ細かなサポートを行う。求職者と病院側のニーズをすり合わせることで、ウィンウィンの関係づくりを目指しているという。国武浩仁次長はこう強調する。
「病院グループのメリットは、急性期から回復期、そして慢性期まで、大小さまざまな病院を運営していること。職場のストレスや労働時間、給与など、退職に至った理由を丁寧にヒアリングし、ご不満を解消するためのお手伝いをすることで、長く働いていただける環境を提供したいと考えています」
子育て中の医師を支援するため、各病院では、24時間対応の保育施設を併設し、子どもが風邪をひいた場合などの病児保育も充実している。また、子育て中の医師を「主治医制」の担当から外すなど、それぞれの実情に応じたシフト勤務も可能だ。
医師の働き方改革が叫ばれる中、グループ全体の医師の有休消化率は7割に上り、「オンとオフがはっきりしている」(国武次長)という。
●スケールメリットを生かす
診療報酬は事実上、2回連続のマイナス改定が続き、介護報酬との同時改定となる来年春も厳しい結果が予想される。
病院経営の先行きが不透明な中、AMGでは創立50周年を機に、早くも次の50年に向けた準備に動きだす。2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた建設ラッシュが過熱する前の段階で、19カ所の病院・施設の新築移転や改修のための先行投資を行い、これまで以上に「安心・安全な医療・介護サービス」を提供できる体制を整えた。この影響でグループ全体の損益は一時的に赤字となったが、今期には黒字に回復する見込みで、下半期に向け、医業収益の底上げを図っているという。
グループの医療法人社団協友会は19年春に、横浜市の旧鶴見工業高校の跡地に、「横浜鶴見リハビリテーション病院」(仮称)を新たに開設する予定で、地域ニーズに合致した運営を貫いている。こうした背景には、AMGならではの強みもある。
「診療材料、医療機器、薬剤などはグループで一括購入しています。こうしたスケールメリットを生かせるのも、AMGの強みの一つです」。国武次長はこう話す。
職員の質を向上させるため、入職の年次に合わせた認定試験も合同で行い、この中には事務部門のスタッフも含まれている。「ドクターは、専門医の資格取得を目指して日夜勉強しています。事務職員だから何もしなくていいということはありません。業務上不可欠なスキルの水準を保つ必要があります」(国武次長)。
●目指すは“三方良し”の関係
医師それぞれの人生プランやキャリアに合わせた働き方ができるのは、幅広い医療・介護サービスを提供し、経営基盤が安定している病院グループだからこそ。国武次長は求職者と病院、そして患者の“三方良し”の重要性を強調する。
「求職者と病院のミスマッチが起これば、お互い不幸な結果になり、それは患者さんにも影響します。AMGではできるだけ早いうちに、病院のトップに会っていただき、病院のビジョンや雰囲気に触れていただきます。気持ち良く働ける環境を整えることで、“三方良し”の関係を築いていきたいと考えています」
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