病院の建て替え資金計画に新たな発想
不動産投資ファンドという選択(下)
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不動産投資ファンドとは、証券会社や投資法人が、投資家から資金を集めてマンションなどの不動産を取得し、家賃収入や売却などで得た利益を投資家に配当する金融商品だ。2000年に施行された改正投資信託法で新たに投資信託の運用対象となった。
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スパークス・アセット・トラスト&マネジメントとCBnewsは10月27日(木)、
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諌山社長は、不動産投資ファンドは病院や診療所の新規建設だけでなく、建て替えや耐震補強工事などに必要な資金需要にも対応できると強調する。その上で、医療法人の理事長が1人の医師として、多額の資金を銀行などから借り入れ、バランスシート上での過度の負担を背負うのは医療提供体制にとってマイナスでしかなく、かえって医療に専念できなくなると指摘。それよりも不動産投資ファンドを活用して賃借料などを支払い、むしろ自己資金は、医院経営の競争力をアップさせるために医療機器の更新や優秀な人材獲得に使うべきだと提言する。
病医院の新規建設や建て替えでは、計画当初の必要資金と実際の資金が、建設資材価格の上昇や、建築従事者の人件費の高騰などで大きく食い違ってくることが珍しくない。20年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国内の建設需要が高まる中で、病医院などを新規に建設したり、建て替えたりする必要が出てくれば、このリスクは一層高くなることが予想される。
8月1日に新規開業した股関節手術専門の「東京ヒップジョイントクリニック」(東京都世田谷区、狩谷哲院長・19床 =関連記事= )と画像検査・診断を専門にする東京メディカルイメージングクリニック(池田俊一郎院長)は、世田谷の一等地の街道沿いの5階建て建物の中にある。2つのクリニックが入居する本建物の総事業費は20億円を超える。2つの手術室や入院病棟のほか、リハビリテーション室が整っている。
東京メディカルイメージングクリニックには大学病院レベルの最新鋭の1.5テスラMRI(磁気共鳴画像装置)のほか、最新型の320列エリアディレクターCT(コンピューター断層撮影装置)が設置されている。
◎映像による解説は下記動画をご覧ください。
いずれのクリニックも、医師がひたすら患者のための医療提供に専念できる環境を整備できたのは、不動産投資ファンドを利用したからだ。
■これから10-15年は病院の建て替え相次ぐ
病院の建て替えで最も効率的だとされるのが、従来の業務を続けながら移転をする「移転建替」だが、現在ある建物の所在地とは別の土地が必要になり、その分だけ余計に資金がかさんでしまう。
もう1つの方法として、ローリングという建物の一部を取り壊して、建設を繰り返す方法もあるが、工期が長期にわたるために、より資金が膨らんでしまうことも考慮しなくてはいけない。
過去の病院の着工件数を見ると、第一次改正医療法の1985年の施行を前に、病床規制をにらんだ建設ラッシュがあったことが分かる。また81年に、建築基準法における耐震基準の改正が行われたが、旧耐震基準の病院も多数存在する。
このタイミングから約30-35年の月日が経過し、それに伴い病医院のトップも事業承継を具体的に考えなければならない時期に差し掛かっている。
病医院が自ら不動産を保有し、医療経営を行うことが通常であり、長期返済を前提とした銀行ローンや、それに伴う病医院長の個人連帯保証が一般的であった。しかし、診療報酬改定により報酬が減少する中で、経営を引き継ぐ世代に長期不動産担保ローンや連帯保証を負わせることはハードルが高いと言える。この後は、病床機能の連携や分化のために改築が必要になる可能性がある。今後の資金需要に備え、多様な資金調達方法を検討すべきかもしれない。
■不動産投資ファンドQ&A
不動産投資ファンドについての疑問に、諌山社長が一問一答で答えた。
Q 不動産投資ファンドの投資先が医療機関の方針に口出しして、医療提供に影響を及ぼすことはあるのか。
A 私たちの投資は、あくまで不動産の固定賃料収入を前提としています。つまり、病医院が入居するビルの大家業に当たります。病医院の経営構造を理解し、不動産の立場から病医院の運営を支援するのみで、医療経営には踏み込むことはありません。
Q 銀行融資やリースとの違いは何か。
A 銀行融資やリースは病医院の経営主体が「負債」を負って、長期に返済していくことを意味します。私たちは、ファンドを通じて不動産を保有しますが、不動産の取得・保有に関する負債はファンドが負うため、病医院のバランスシートには載りません。
Q 不動産投資ファンドのメリットは理解したが、注意点はないのか。
A どのような病医院の不動産にでも投資するというわけではなく、健全な経営がなされているかを見させていただいております。そのため、経営状況に関する基本的な数値は定期的にご開示いただくことになります。
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スパークス・アセット・トラスト&マネジメントとCBnewsは10月27日(木)、
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