淘汰の時代、生き残る病院の見極め方
医師・キャリア考(3)
医師の転職支援事業を行っている株式会社キャリアブレインとのタイアップ企画、「医師・キャリア考」。第3回は生き残る病院の条件についてです。
病院の閉鎖は、実はそれほど珍しい話ではありません。例えば2003年から14年までに629カ所の病院がなくなっていますし、13年から14年の1年間に限っても47カ所が閉鎖しています。ちなみに03年時点の病院数は9122カ所。03年から14年の間には、おおよそ100カ所のうち6カ所から7カ所の割合で病院が閉鎖していたわけです。
もはや、病院も淘汰の波を避けられない時代に突入したと言えるでしょう。しかも、昨今の制度改正は、淘汰の波をますます荒く、激しいものに変えつつあります。
1人ひとりの医師がキャリアを考える上で、安定した職場を選べるかどうかは、とても大切な要素です。ならば、この厳しい環境の中で10年後も病院が生き残るには、どんな条件が必要なのでしょうか―。まずは病院が閉鎖に至る理由から見直し、考えてみましょう。
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■病院廃業理由のトップは人材不足 当たり前のことですが、病院閉鎖の直接の原因は収益減です。
収益減の大きな理由として誰もが思い浮かべるのは診療報酬改定に伴う減収でしょう。ところが、実際は人材不足こそが最大の理由となっているのです。
一般的には、医師1人につき1億円の売り上げが上がるといわれています。大まかな平均値ですが、何らかの理由で医師が退職すると、病院の売り上げはそれだけ減ることになります。医師の退職後、すぐに別の医師を雇用することは難しく、医師以外にその売り上げを上げることはできないため、病院経営には大きな打撃となります。 さらに、その医師が退職したことによる業務負担が、働いているスタッフにのし掛かってくるため、退職者が続く事態にもなりかねません。 ■ポイント1:人材の確保対策は行っているか? 人材不足は病院閉鎖に直結する極めて重いリスクと言えるでしょう。それだけに、その対策を講じているかどうかが、生き残る病院を見極めるための重要なポイントです。 人材確保対策は、人材採用と退職防止の2つの観点があります。
人材採用の対策としては、経営トップが自分のつてを使って常に情報を収集したり、採用のための経費を確保して業者を使ったりということが挙げられます。 退職防止の対策としては、残業時間の短縮や勤務日数の短縮等について取り組みを行っているかがポイントになります。当直や外来などの業務に対しては、スポット勤務の医師で対応するなど、常勤医師の勤務時間に配慮した対策を取っているかを見極めた方がよいかと思います。 ■ポイント2:病院が特色を出せているか? もう一つのポイントとして挙げられるのが、病院が特色を出せているかどうかです。 国は病院の機能分化を進めています。同じ医療圏の中に似たような機能の病院が複数存在すると圏内の患者の奪い合いになり、どこかが廃業に追い込まれますが、それぞれが特定の分野に特化していれば、無益な患者の奪い合いは避けられるからです。 その病院が存在する医療圏内で、どのようなポジションにある施設なのかが一目で理解できる病院は生き残れる病院と言えるでしょう。 特色の有無を判断するには、病院の科目ごとの常勤医師数をチェックしてみましょう。多くの場合、院長の専門科目と常勤医師数が多い科目は一致します。もし違う場合は、その理由を調べてみる方がいいかもしれません。 ■ポイント3:経営者の年齢と後継者 最後のポイントが、経営者の年齢と後継者です。
実は、経営者が突然不在になり、病院が閉鎖されるということも少なくありません。 06年に厚生労働省が行ったアンケートによると、医療法人の理事長・院長の6割以上が60代、3割が70代以上です。経営者が高齢であることは、病院閉鎖のリスクになり得ます。その場合、後継者の有無が非常に重要な問題です。 直接、理事長・院長に「後継者はいらっしゃいますか?」とは聞けませんが、ご年齢を伺った後にご子息のお話などをすると、この辺の事情を聞くことができるかもしれません。
後継者が決まっている場合でも、その方の専門分野が病院の今後の方向性に大きくかかわってくるため、自分のキャリアを考える上での参考情報になるはずです。 いかがでしょうか? これまで述べたような内容に、今の勤務先が当てはまるのではないか?と不安になられた先生、または、今転職を考えていたけれども転職先候補の施設の情報を詳しく知りたいと思われる先生、一度お気軽にキャリアブレインまでご相談ください。客観的な視点で、先生のキャリアに関する最適な提案をいたします。
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