サ高住、目指すべきは「専門店」
ミサワホーム×CBnews共催セミナー
ミサワホーム株式会社(東京都新宿区)と株式会社CBnews(同港区)が共催する医療・介護経営者向けセミナーが仙台市内で開かれた。現場経験の豊富なコンサルタントら3人の講師が登壇し、急速に増え続けるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の経営の秘訣を紹介した。講師らは口々に差別化の必要性を訴え、「専門店」のような存在になることが生き残り戦略になると語った。
【関連記事】
数々の介護事業のコンサルティングを手掛けてきた小濱介護経営事務所代表の小濱道博氏は、現在、注目されている介護保険外サービスは、制度の縛りがあり、画一的なサービスしか提供できない介護保険サービスとは違い、自由度がある「専門店」のようなものだと説明。「皆のやらないことをする。ほかではできないことをする。これが大事なキーワード」と述べ、そうすることが自施設を選んでもらえることにつながると強調した。
その上で、介護保険外サービスを手掛けるならば、高付加価値の領域に着目すべきとし、中でも看取りのケアまでをする高齢者住宅は価値が高く、取り組んでいるところがまだ少ないことから、明確な差別化になるとした。
また、ミサワホームで直営の介護施設の開設や病医院の開業をサポートしてきた安藤治郎氏は、地域によっては既にサ高住は飽和状態で、入居者の募集に苦戦するところも多いと指摘。医療機関がサ高住の経営に乗り出す場合には、看取りのケアや医療ニーズに対応することはもちろん、「さらにもう一歩、差別化することが必要ではないか」と述べた。
具体的には、「医療専門店型」としてホスピス専門や認知症専門、医師の専門性を生かした「疾患別特化型」として循環器専門、呼吸器専門、脳神経専門、糖尿病専門、ロービジョン専門などというように、細分化された顧客ニーズに対応する取り組みが評価されるとし、実際に集客に成功している事例を幾つか紹介した。
さらに、株式会社ライフデザインゼロ代表取締役の吉田豊美氏は、末期がんと難病に特化したサ高住をつくり上げた実体験を紹介。さまざまな社会資源を組み合わせることで、ベッド単価が月に100万円を超え、治療ではなくケアに重点を置いた人員配置をすることで、人件費率50%以下を実現したという。
吉田氏は、「選ばれるには、色分けをちゃんとしないと、営業ができない」と述べ、ペインコントロールの専門医と連携し、がんの痛みのケアを徹底したり、在宅酸素療法や経管栄養などを選択するかどうかの意思確認を丁寧に実施したりするなど、看取りのケアのプロとして取り組む数々の工夫を紹介した。
同セミナーは、7月10日(広島)、8月7日(福岡)にも開催される。詳細はこちら。
医療介護経営CBnewsマネジメント
【関連記事】