激動の調剤市場、独立開業は是か非か
薬剤師・キャリア考(2)
【関連記事】
【無料/薬剤師の年収を査定】
▽▼▽ 画像をクリック ▽▼▽
※地域と働き方、経歴を記入することで、キャリアアドバイザーが年収を客観的に査定 ■年収面では転職よりも魅力的?
例えば、「処方箋単価7,000円、処方箋数35枚/日、内科の薬局、月間営業日数は22日」という、全国のどの町でもありえそうな想定でシミュレーションしてみましょう。この想定の場合、年間の処方箋受付数は、35枚×22日×12か月で、9240枚となります。 これに処方箋単価(7000円)をかけることで、年間の売上高は6468万円であることが算出されます。 さらに、内科の場合、薬剤の購入費等が平均で売り上げの70%です。つまり、年間売上約6500万円の30%、つまり1950万円が粗利となります。 さらに粗利から、人件費や賃料、光熱費等その他雑費などを差し引いた額が最終的な利益です。それぞれ、350万円、200万円、350万円で概算しましょう。 1950万円-(350万円+200万円+350万円)=1050万円 つまり、この1050万円分を社長は自由に使えることになります。 もちろん、その一部は薬局経営のために積み立てる必要があります。また、人件費や賃料が想定よりかさめば、最終的な利益はその分だけ減りますし、処方箋単価や処方箋受付数が例より少ない場合も、利益は目減りします。さらに、逆に処方箋受付数が例より多くなったとしても、今度は自分以外に薬剤師を雇う人件費が発生しますので、その分利益が減ってしまいます。 それでも転職しようとする薬剤師に1000万円の年収を提示する職場は少ないことを思えば、開業は十分魅力的な選択肢といえるでしょう。 ■忘れてはならない、開業のための初期投資 ここで忘れてはならないことがあります。開業するにもお金が掛かるということです。実際にはどのような初期投資が必要なのか、以下にまとめてみました。 (1)物件に関する費用
土地の賃借料等がこれに当たります。テナントを借りる場合は、薬局として使うために改装する必要があるため、内装費がかかります。 (2)機器・備品に関する費用
分包機や電子薬歴等の機器、調剤棚等の什器、その他の備品を購入する必要があります。 (3)薬剤の仕入れに関する費用
処方する薬剤の仕入れ費用です。 (4)人材募集費
2名以上で店舗を運営する場合、薬剤師や事務員の募集に関する費用が必要です。 (5)運転資金
レセプト提出から支払いまでに2カ月のタイムラグがあります。調剤報酬が支払われるまでは、本人負担分の3割しか現金が入ってこないため、その間も薬局運営ができる程度の資金が必要です。 新しい事業所を立ち上げる場合、これらの出費を避けて通ることは難しいでしょう。 もっとも同じ開業でも、これらの費用を軽減できる方法もあります。それが既存の薬局を譲り受ける承継開業です。 ■承継開業という選択肢―費用面の特徴 承継開業の場合、上記(3)の薬剤仕入れや(5)の運転資金は新規開業と同様に発生しますが、(1)物件に関する費用、(2)機器備品に関する費用、はすでに薬局として稼働していた施設を譲り受けるため、抑えられます。(4)人材募集費についても、薬局の譲渡のタイミングで、そこで働いていた職員の方に継続して働いていただけるケースも多く、その場合はかからない費用です。
ただ、承継開業は新規開業ではまったく必要ない負担も生じます。それが「のれん代」と呼ばれる費用です。 のれん代とは、その薬局を営業すること自体の価値に対する代金で、すでに構築された薬局と患者との関係や地域内における薬局のブランド等を価値算定した金額です。具体的には、その薬局で期待できる売上高を元に、算出するのが一般的です。
のれん代までを考慮に入れると、結局、承継開業と新規開業は同じほどの資金が必要となってしまう場合がほとんどです。 ■安定性・採用コストで圧倒的に有利な承継開業 ならば、新規開業と承継開業はどっちが有利なのか―。費用以外の面からも比較してみます。 新規開業では、開業する場所を自由に選ぶことができます。そのため、応需する診療科を自由に選べますし、立地と営業努力次第では処方箋枚数を増やすことができます。一方、承継開業は、経営者が切り替わったからといって、処方箋の種類や枚数が大きく変更になることがありません。
新規開業の特徴は、自由な経営ができ、売上を努力次第で伸ばせると言えますが、裏を返せばやってみないと分からない、一種の賭けの要素が大きい、とも言えます。どちらの手法が有利かは、経営者の考え方によりますので、一概に答えを出すことはできません。 ただ、現状の厳しい経営環境の中では、処方箋の単価や枚数が予測しやしく、収支にある程度の見通しが持てる承継開業の安定性の高さは、多くの人にとって魅力的といえるでしょう。少なくとも開業後の顧客確保の懸念という心理的コストの面でいえば、承継開業は新規開業に比べて圧倒的に有利です。 さらに承継開業が圧倒的に有利といえるのは採用コストでしょう。人材採用をするとなると、金銭的なコストはもちろん、時間的にもコストがかかりますし、精神的な負担も相当なものです。この点、薬局の承継時にいままで働いていた職員の方を継続雇用できる可能性が高い承継開業であれば、新規開業に比べて採用コストを低く抑えることも期待できます。 キャリアブレインでは、承継開業という形式で、薬剤師の開業を応援しております。将来的に開業をお考えの方は、承継開業という形式も選択肢の一つとして考えられることをお薦めします。 承継開業について興味がおありの方は、以下のフォームからお問い合わせください。 メールでのお問い合わせはこちら。
医療介護経営CBnewsマネジメント
【関連記事】