沖縄が気になる薬剤師さん、一度来ませんか
キャリアブレインが現地ツアー、既に内定も
県内に薬学部がなく、人口当たりの薬剤師数が全国で一番少ない-。沖縄県は、薬剤師不足に悩まされてきた。
キャリアブレインでは昨年に引き続き、沖縄で働いてみたいと思う薬剤師(薬学部5年生以上を含む)を募集した。15人が参加し、3月初旬から2泊3日で現地の薬局・病院関係者と交流した。
「なんとなく沖縄に興味があった」という参加者も、実際に働く薬剤師と接し、沖縄で働くことが、ぐっと身近に感じられたようだ。既に2人の内定者も出ている。【大戸豊】
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ツアー初日に訪れた「おきなわワールド」(南城市)では、「スーパーエイサー」の太鼓パフォーマンスを堪能した。十数人の踊り手たちは、「エイサー」と声を上げ、威勢よく腰の太鼓をたたき、まるで武術のように体をひねり、跳んで、跳ねてみせる。
この日の那覇の最高気温は3月初旬でも24度。エネルギッシュな踊りに、会場も熱くなった。
■「気付けば沖縄に10年」の薬剤師は珍しくない
一気に沖縄の空気を感じた後は、国際通り沿いのホテルで、県内の薬局・病院関係者との懇親会だ。
沖縄の薬剤師の方も最初、どう話し掛けようか迷っている場面もあった。しかし、薬剤師同士、仕事の話になると緊張は解け、話も盛り上がってくる。 「埼玉県出身です。気付いたら沖縄で10年働いていました」
そんな方も珍しくない。
病院の副薬局長は、「東京で勤めていた病院では、医師がいつも忙しそうでした。沖縄が肌に合ったのと、人も東京より余裕があるから、やってこられたのかも」と話す。
話は尽きない。宴もたけなわ、懇親会もお開きというころ、病院や薬局の担当者から「近くにお店を取ってます。是非二次会に来てください!」とのアピール合戦が始まった。那覇の夜に誘われるように、会場を後にした。
■安心して休めます。仕事とプライベートの両立も
翌日は、病院と薬局の担当者によるプレゼンが行われた。現地の10法人が思い思いの方法で、沖縄で働く魅力や法人の特長を挙げていく。中には三線(さんしん)を弾きながら登場する担当者も。
「安心してください!休めますよ」
地元のチェーン薬局の担当者は、有給、産休、育児休暇は100%取得と胸を張る。
中堅病院も、残業なし、夜勤なしで、仕事と沖縄でのプライベートの両方を充実できますと、ワーク・ライフ・バランスをアピールした。
急性期病院の薬剤部長は、4月に新築移転をして、環境が整備されることや、チーム医療を通じて、薬剤師として充実したキャリアを積めることを強調。他の急性期病院も、100床の増床を予定しており、今後も成長が見込めることを訴えた。
在宅業務を展開する薬局の担当者は北海道の出身。「県外出身者でも沖縄でうまくやっていけるはずです。新しい自分を発見できるかもしれません」とエールを送る。
離島で薬局を運営する法人は、「中休みのつもりで、1、2年働いてもらってもいい。まずは現地を見てほしい」と語る。
沖縄移住を専門にする不動産事業者から、現地の家賃や物価の相場なども紹介される。
担当者は自身の経験を基に「人間関係も自分から積極的にかかわらないと厳しいです。なぜ沖縄なのか、一度整理することをお勧めします」とアドバイス。
午後からは、個別の相談会がスタートした。薬局、病院とも、ポスターなどで思い思いにブースを飾り、プレゼンでは説明しきれなかった部分を参加者に伝える。各所で熱心に耳を傾け、質問する姿が見られた。
■沖縄で働く薬剤師と知り合えて良かった
2日目の懇親会では、参加した薬剤師がツアーの感想を述べる場面もあった。
東北から参加した20歳代の男性は、「沖縄は過ごしやすそう。働いてみたいという気持ちが強くなった」とコメントした。
関東で働く女性の薬剤師は、少しペースを落として働きたいと思い、移住を考えているという。今回参加して、働きたいという気持ちは高まったといい、もう少し検討したいと話してくれた。
参加法人からは、離島で薬局を経営する女性社長があいさつ。日ごろから島の子どもたちに医療に関心を持ってもらえるよう、魅力を伝えているといい、「将来は薬剤師になって、島を守ってくれたらうれしい」と語った。
ツアー最終日、参加者は自分が興味を持った薬局や病院を実際に訪問し、自分の目で職場の様子を確かめた。午後からは、沖縄観光を楽しみ、帰路に着いた。
関東から参加した社会人経験のある薬学部5年生の男性は、相談会でも各ブースで熱心に話を聞いて回り、最終日の職場見学会でも、病院2施設、薬局2店舗を訪問した。
今回ツアーに参加してみて、「沖縄で実際に働いている人と知り合えたことが、一番良かった」と話す。実際に現場を見て、仕事は大変と思いつつも、沖縄で働き、薬剤師と交流したいという気持ちは強まったという。
キャリアブレインが参加者にツアー後アンケートしたところ、15人中12人が沖縄に転職(就職)したいという意欲が高まったと回答している。そして3月17日の時点で、既に2人が沖縄県内の薬局に内定している。これ以外にも、ツアーをきっかけに沖縄で働くことを決めた方も複数いることから、内定者も増えていく可能性がある。
現地の薬剤師の皆さんの話を聞いてみると、県外から沖縄に来ている人は珍しくない。最初は何となく沖縄が気になって、来てみたら自分に合っているので、働き続けているという話をよく聞いた。
興味を持った薬剤師の方は、まずは現地で働く皆さんの話を聞いて、実際に現場を回ってみてはどうだろうか。
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