医師の薬剤師への不満聞き、薬局開業へ
あけぼの薬局グループ・岡田代表
株式会社あけぼの関西(大阪市北区)、株式会社リバーサル(東京都中央区)、株式会社こはる薬局(広島県福山市)、有限会社ひまわり薬局(埼玉県蓮田市)で構成される「あけぼの薬局」グループの岡田一平代表が目指す薬局は、製薬会社でMR(医療情報担当者)をしていたころの体験がベースになっている。
【関連記事】
炎症を抑えるために処方した薬剤を、その薬剤師が「痛み止めですよ」と患者に渡したことに憤まんやる方ない様子なのだ。頓用で出していないのならば、最後まで服用しなくてはならない。服用すれば患者の痛みは取れるが、炎症を抑えないと再発する恐れがあるからだ。
患者から、「今、痛くないから飲んでいない」と聞いたその医師は、当時MRで訪問していた岡田代表に、「消炎効果を期待して適正な量を処方したのに、患者さんに最後まで飲んでもらわなくては困るでしょう」と不満をぶつけた。
岡田代表は、薬剤師は診療方針に従って薬剤を処方した医師の意図をくんで、その薬剤の副作用やリスクなどを患者に適切に伝えることが大事で、医師と患者をつなぐ役割があると実感した。薬局がその役割を果たすことで、医師からも患者からも信頼されると確信した。
そのころから、今、注目されている「かかりつけ薬剤師」のいる薬局のコンセプトを見据えていた。2016年度診療報酬改定で、「かかりつけ薬剤師」を新たに評価することになった。「あけぼの薬局」グループではすでに、要件を満たすための準備を開始し、地域で患者はもちろん、医師からも選ばれる薬局を目指している。 「あけぼの薬局」グループに興味がある方は、こちらを クリック
■「あけぼの薬局」グループで、社員の独立・開業も支援
「あけぼの薬局」グループの店舗数は現在、54店舗。20年までに100店舗までに拡大させる目標を掲げている。そのために、新卒・中途共に薬剤師の採用を積極化させている。
岡田代表が自らも、入社を希望する新卒・中途の採用面接に立ち会うこともある。新卒での応募ならば、やる気や自分の目標を持っているかを聞くことにしている。中途ならば、薬局店舗の幹部候補になることも期待されるため、採否を決定する際には、新卒を指導できるかなどのマネジメントの能力にも重きを置いている。
一方で、新卒・中途の隔てなく、早い段階から管理薬剤師やマネジャーになることを真剣に考えていたり、独立・開業を目指していたりするならば、それらの目標に向けて、「あけぼの薬局」グループでバックアップすることも約束している。
■新人応援「LINE」で店舗の新人をベテラン薬剤師がサポート
岡田代表は、社員の働きやすさを大切にしている。「あけぼの薬局」グループは、店舗をエリアで区分けしている。ある店舗で人員が欠けた際には、同じエリアのほかの店舗から要員を派遣したりして、柔軟に対応している。
これにより、グループ社員の有給休暇消化率は9割超を実現している。岡田代表は、仕事と生活の両面の充実をうたっていて、「しっかりと休んで、いい仕事をしてもらいたい。オンとオフを明確に分けることで、オンが濃くなる」と話す。
グループ全体で、スマートフォン(スマホ)による新人応援「LINE」を積極的に活用している。そのLINEでは、店舗の新人薬剤師などが仕事のことで分からないことがあった際に相談を投稿し、それに対して同じ店舗だけでなく、グループのほかの店舗のベテラン薬剤師が迅速に回答を送るなどして、新人をサポートしている。
また、社員の働きやすさの一環として、医療安全に向けた仕組みづくりへの投資も惜しまない。すべての店舗で二次元バーコードを採用。処方せんに印刷されたQRコードは、過誤の防止や患者の待ち時間短縮に役立っている。二次元バーコードは医療機関のレセプトコンピューターに専用ソフトをインストールしなくてはいけないが、「あけぼの薬局」グループが主導する形で、付き合いのある医療機関に呼び掛けた結果、一緒に運用するケースも出てきている。
「あけぼの薬局」グループに興味がある方は、こちらを クリック
■患者の利便性考え、フリーダイヤルのファクス処方や「相談ブース」設置
患者の利便性を向上させる取り組みにも余念がない。無料のフリーダイヤルのファクス処方も導入し、薬局での待ち時間を短縮している。患者は受診した医療機関で渡された処方せんを、「あけぼの薬局」グループの薬局にファクス送信しておけば、来店後にスムーズに薬を受け取ることができる。
ファクス処方により、薬剤師は患者が来店する前に処方医に疑義照会することも可能になるため、その分の時間が節約できる。患者は、自宅などからファクス送信することもできるが、受診した医療機関から直接、薬局にファクス送信してもらう仕組みだ。
また、患者のプライバシー保護のために、パーテーションで区切ったカウンターの設置を推進。スペースに余裕のある店舗では、個室の「相談ブース」を設けている。相談ブースは、心療内科の処方せんを持って来た患者などに説明する際に使用したりしている。
糖尿病の新患へのインスリン注射手技指導が必要となった場合には相談ブースの中で、時間をかけて丁寧に指導している。指導を受ける患者は、人目を気にせずインスリン自己注射などのやり方を教わることができる。
■「笑顔創造ファーマシー」に向けた行動規範を明確化
「あけぼの薬局」グループは、20年に向けて100までに店舗拡大することによる規模のメリットを最大限に生かしていく。グループ全体で薬剤の融通も利かせ、店舗のあるエリアごとに、必要な薬剤をタイムリーに把握。在庫管理を徹底することを通じて、廃棄率の低減も進めている。
グループはスローガンに「笑顔創造ファーマシー」を掲げている。それに向けた行動規範には、▽医療にかかわるプロフェッショナルとして誇りを持ち、誠実に仕事に取り組む▽患者さまの笑顔と健康のために常に最善を尽くし、使命感を持って研鑽に努める▽医療機関や取引先のベストパートナーとして信頼される薬局であり続けるーなどを盛り込んでいる。
岡田代表は、「スローガンの“笑顔”とは、患者さんの笑顔で、それが創造できれば、患者さんは私たちの薬局に来るようになり、処方医からも信頼され選ばれる薬局になる。笑顔を創造することで、これからも生き残っていける」と確信している。
「あけぼの薬局」グループに興味がある方は、こちらを クリック
医療介護経営CBnewsマネジメント
【関連記事】