広報期間2カ月で集客2,300人を達成
【病院広報アワード】病院の存在意義を地域の全ての人に
【その他部門】最優秀賞
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院(熊本市南区)
医療連携部地域医療連携室 澤村彩花さん
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済生会熊本病院が1月20日に熊本城ホールで開いた市民フォーラムは、広報期間1カ月で2,300人の会場が埋まった。
広報を担当した澤村さんは、病院とまだ接点のない地域の人たちにどれだけアプローチできるかをこのイベントのテーマに設定した。
大卒後は、テレビ局で主にイベントの企画を担当し、その後は住宅メーカーのマーケティング部で勤務した。2023年1月、済生会熊本病院に入職すると、医療に関する基本的な知識を身に付けるため、地域医療連携室で登録医など連携先の声を聴いてきた。
市民フォーラムは、澤村さんが病院広報に初めて挑む本格的なイベントだった。
タイトルは「コトバの処方せん」。「声に出して読みたい日本語」などの著書で知られる明治大の齋藤孝教授を講師に招き、使い方によって毒にも薬にもなる「言葉」の大切さを訴えることにした。学生やその親世代がメーンターゲットだ。
イベントの大枠が固まると、テレビCMやチラシを作ったりユーチューブや駅前のデジタルサイネージ(電子看板)に広告を出したり、大々的な広報戦略に打って出た。
「200人くらいしか集まらなかったらどうしよう」。
最初はそんな不安を抱いていたが、ふたを開けてみると、初回の集客報告が700人を超えた。最終的に、「満員御礼」の広告をメディアごとに作って対応するほど反響があった。
「病院とこれまで接点がなかった人たちが大勢足を運んでくださった。うれしい悲鳴という感じです」。
医療の世界に飛び込んで1年半、澤村さんは今、病院広報の伸び代と、病院で働く人とそうでない人との情報格差の大きさを同時に痛感している。これまで受診してくれた患者さんだけでなく、地域の全ての人たちがいざという時、正しい医療を選択し、助けを求められる環境を実現するのが最終目標だ。
それをどう実現させるか。SNSやYouTube(ユーチューブ)を活用する病院広報は、病院をそもそも知らない人にアプローチしにくいという弱点がある。
そのため澤村さんが今、描いているのは、ホームページやSNSなどでのこれまでの情報発信と、マスメディアの広告展開を組み合わせる戦略だ。「自分から探しに行かなくても、正しい医療情報が生活に溶け込んでいる環境を作りたい」
8月には、6人体制の広報室が院内に立ち上がり、澤村さんも地域医療連携室から異動する。病院の存在意義を地域の全ての人に-。そのための広報戦略が本格化する。
医療介護経営CBnewsマネジメント
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