介護施設の厨房運営効率化を実現、年間約500万円削減
SOMPOケアの完全調理済み食品「デリパック」
厚生労働省の介護事業者経営実態調査では、特別養護老人ホームと介護老人保健施設の収支差率が、2001年に統計を取り始めて以来、初のマイナスとなった。光熱費や水道代の高騰、人件費の増加が経営を圧迫したと見られる。厳しい経営環境の中、施設の経営効率化は喫緊の課題となっている。
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全国で介護付き有料老人ホームなど約470の施設を運営するSOMPOケアは、「食」の切り口から経営効率化を提案する。慢性的な調理スタッフの入れ替わりや採用難に加え、昨今の食材費や光熱費、人件費の高騰は、厨房運営コストに重くのしかかる。どう美味しい食事を安定して提供するか―。厨房運営の課題に対し、自社運営施設で提供する食事の外部販売に本腰を入れ、介護事業者の経営効率化を支援する。
■「デリパック」による厨房運営効率化、年間約500万円削減
SOMPOケアフーズが提供する完全調理済み食品「デリパック」は、現在、全国約600ヵ所の高齢者施設で導入されている。調理済みの食品を温めたり、流水で解凍したりして提供できる「デリパック」は、厨房運営の省人化が可能だ。
SOMPOケアソリューション事業部営業1課長の渡辺大輔氏は「導入した施設の中では、食事提供にかかるコストを年間約500万円削減できた所もあります=図=。
昨今の食材原価や人件費の高騰の影響で、厨房収支はより厳しさを増しています。特に早朝の調理スタッフが集まらずに困っている施設は多く、人材確保のために時給を上げて、さらに収支が悪化してしまうというケースもあります」と話す。
「デリパック」を使えば、献立作成や食材の下処理・調理・味付けの対応が不要になる。調理技術のないスタッフでも対応ができるため、厨房の人員配置の改善につながるという。
■盛り付けまで約20分、誰が作っても短時間
「デリパック」は、湯煎やスチームコンベクションでパックごと加熱(解凍)し、開封して盛り付ければ、すぐに利用者へ提供できる。食材によって異なるものの、約10人分の食材が入った1パックの調理時間は、加熱から盛り付けまで約20分。SOMPOケアフーズ 商品開発部統括部長の真木大輔氏は、「これまで厨房に時間を割かれていた施設では、調理の手間の削減により、利用者とより向き合ったサービスが提供できるようになります」と話す。
■喫食率向上につながる3つのポイント
もっとも調理時間が短縮できても、利用者の食事に対する満足度が下がっては元も子もない。「デリパック」を導入した施設17法人に取ったアンケートによると、88%の法人で喫食量が増えたという。
これは食べ残しが減ったことを意味する。「デリパック」は栄養面も十分に配慮されており、真木氏は「特に高齢者にとって大切なバランスのよい食事になっています。食べ残しが発生すると、食事と別に栄養を補うための補助食品などを用意することもありますが、喫食率が高いと毎回の食事で十分に栄養をとっていただけます」と話す。
「デリパック」の開発から流通までのさまざまな工夫が、この喫食率の改善につなげているがポイントは大きく3つある。
1つ目がメニューの豊富さだ。一般的なセントラルキッチンの場合は、1カ所の工場で集中して、魚や肉料理、和食、洋食、中華の各食材を製造することにより、高い生産性、画一的な品質を実現できる。
一方、「デリパック」は、美味しい料理を提供するため、メニューごとにこだわりを持ってそれぞれ専門の加工業者を選定している。セントラルキッチンでの製造に比べると生産性は劣るものの、毎日、味の異なった美味しい食事を利用者は楽しめる。真木氏は「仕入れ先、製造工場の選定からこだわっており、現在、全国で100工場と提携しています」と説明する。メニューは肉・魚料理やカレーなどの定番だけでなく、「はらこ飯」をはじめとした郷土色も意識した“ご当地食”や「桃の節句御膳」など季節にあわせた“イベント食”もそろえる。
2つ目が、徹底した品質チェックと現場の声を踏まえた商品開発。東京都(芝浦)に研究・ラボを設置し、品質チェックや美味しさの追求、新商品の開発などを手掛けている。例えばハンバーグであれば、焼き色やジューシーさを調理温度や保水率を確認しながら、試作を繰り返し、美味しさをとことん追求している。そして、美味しさのベースを築いているのが、提供した食事を通じて得たさまざまな意見だ。SOMPOケアによると、同社運営施設でのデリパックの配食数は1日当たり約8-9万食。真木氏は「提供した食事に対して各施設から意見が数多く上がり、その意見を踏まえながら、味付けの改善や新商品の開発に生かしています」と話す。
3つ目は、利用者の状態に応じた食の提供だ。高齢者施設では、利用者の嚥下の状態に合わせた食事の提供は必須であり、全国の工場に支えられ、「普通食」「ソフト」「ムース」「ピューレ」の4つの食形態を用意する。渡辺氏は「普通食を手作業で細かく刻んで対応している施設も多いが、上手に刻むことが難しく、ミキサーにかけると塊が残ったり、何を食べているかわからないと利用者が食事を残してしまったりすることがあります。嚥下に合わせて現場で対応するのは労力がかかるうえにハードルが高いです」と現場の課題を語る。
4つの食形態以外にも食事制限やアレルギーのある利用者に対しては、料理1皿単位で対応が可能。真木氏は「利用者目線に立った食品を豊富にそろえており、商品点数は約2000品あります」と話す。
■柔軟な発注対応で、食材ロス防止にも
完全調理済み食品の場合、1カ月単位で施設が発注し、その後、1週間ごとにまとめて配送されるケースも少なくない。デリパックの場合、献立は、日々の栄養バランスの調整や飽きが来ないようなメニューを、SOMPOケアフーズの管理栄養士が1カ月単位で献立を作成するものの、発注の変更は利用3日前の午前中まで可能だ。「急な入院による欠食や予定外で急遽、食事の用意が必要になる場合も、施設では弾力的な対応ができます。食材は毎日配送されるため、ストックするための大きな冷凍庫などを用意する必要もなく、厨房をより効率的に使うことができ、食材ロスの防止にもつながります。」と真木氏は配送上のメリットを強調する。
▽「デリパック」の無料試食・詳細についてはこちらから▽
https://lp.sompocarefoods.com/?utm_source=cb&utm_medium=tieup&utm_campaign=2023
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