vol.5(最終回) 木の持つ“力”で患者を元気に
理事長・院長の想いをスウェーデンハウスがサポート
当然の話だが、医療機関には体調の優れない人が訪れる。受付を済ませたあと、すぐに診察を受けられることは珍しく、多くは待合室で自分の名前が呼ばれるのを待つ。「しんどいのに…」。これが患者の率直な心の声だろう。こうした患者の負担を少しでも和らげる“バイプレーヤー”としての存在が、木をふんだんに使った医療施設だ。スウェーデンハウスの魅力に迫る企画「理事長・院長の想いをスウェーデンハウスがサポート」vol.5(最終回)では、内科・脳神経内科・リハビリ科を標榜する岩手県一関市千厩(せんまや)町の「千厩ひかりクリニック」を訪ねた。
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木が人の生理や心理にプラスの効果をもたらすことは、さまざまな研究から分かっている。こうした木の持つ力を取り入れた医療施設で、地域住民の健康を見守っているのが千厩ひかりクリニックだ。
まず、院内に入ると、パイン材を垂直に張った壁が、患者を受付へと誘導。廊下にはフローリングが敷かれるなど、木の空間が大きく広がっている。
受付を終え、待合室に入ると、スウェーデンハウスの特徴である木製サッシ3層ガラス窓からやわらかい光が降り注ぐ。この光とふんだんに使用された木の空間は、患者にぬくもりとリラックス効果を与える。勾配天井のある待合室には、グリーンとオレンジのカラーでコーディネートされた背の低いソファーが置かれ、開放感をより演出する。
開業して17年が経過するが、今でも、ほんのりと木の香りがしそうなほど、たくさんの木が院内に使われている。「受診する患者さんは、かなり長い時間、院内にいます。その間、体調に不安を抱えたり、医師と話すときには緊張したりもします。その時に、たくさん木が見えて、リラックスできる空間が院内にあれば、こうした不安や緊張を少しでも和らげることができます」。岩本浩之院長は、木へのこだわりの理由をこう明かす。
スチール製の収納棚など、いわゆるオフィス家具を事務室に置くケースが多い中、千厩ひかりクリニックは、あえて木の造作家具を、患者の見えるところに置く。患者は、自分の名前が呼ばれるのを待合室のソファーに座りながら待つ。壁に掛けられたテレビや雑誌などを見ながら、ふと受付を見ると、事務室の奥まで視線が抜ける。そして、その先にあるのは木で作られた収納棚だ。待合室にいる患者の視界は木にあふれた空間だけが映る。「患者の目線を最優先し、さまざまな所に木を配置しようと考えました」と強調する。
診察室にあるデスクも木を用いた特注品だ。岩本院長の思い出のある「ハンノキ」と「ウルシ」の木を使っている。「もともと、木が好きでして。いい表情でしょう」。岩本院長は、机をなでながら、こう語りかける。「患者さんは、診察室に入ってきた時が一番緊張します。木のぬくもりが、自然に緊張感を和らげているんです」とほほ笑む。診察室の天井にもパイン材をふんだんに用いている。診察室の表示プレートにも木を使うなど、細部にまで患者目線の気配りが行き届いている。
「これほどふんだんに木を使ったクリニックの施工例は見たことがありません」。スウェーデンハウスの担当者をもうならせる千厩ひかりクリニックの開業は2006年。「元々田舎の環境が好きでしたので、開業するならば好きな田舎で、そして医者が足りない所で地域医療に貢献したい」(岩本院長)との思いからスタートした。医療施設の依頼先に悩む医師や経営者が少なくない中、木への深い愛着を持つ岩本院長にとって、スウェーデンハウスを選ぶのは半ば必然だった。「木製サッシ3層ガラス窓をはじめ、木をたくさん使っているという点はもちろんでしたが、『100年住み継いでいく家』や『高気密・高断熱』というコンセプトが、私の考える医療施設のイメージと合っていました」と振り返る。
患者の不安や緊張を和らげる患者目線に立った建築設計手法と、岩本院長が建物に求める性能の両方をスウェーデンハウスは兼ね備えている、と感じたのだという。建築の際、具体的に求めたものは「暖かい診察室・院内」だった。千厩ひかりクリニックのある一関市千厩町の厳寒期の最低気温は氷点下が日常だ。いくら暖房で部屋を暖めても、建物そのものの気密性・断熱性が低ければ、暖かい診察室・院内を保つことはできない。
室内の暖かさを重視する理由として岩本院長は「生活するうえでの身体的なパフォーマンスを落としたくないのです」と言い切り、こう話を続ける。「冬になり、寒くなると縮こまって、何もしたくなくなりますよね。そうすると、仕事や生活のパフォーマンスが落ちることになる。それが嫌で。自分自身もそうですが、患者さんにも、暖かい室内で快適に過ごしてほしいという思いを強く持っています。厚着をすればいいという考え方もありますが、それだと動きが鈍くなり、やはりパフォーマンスに影響します。冬場はシャツ一枚で地域のみなさんを診察していますよ」と明るく話す。もちろん、この、パフォーマンスを大事にするという点も、患者ファーストな診療姿勢の表れだ。
「高気密・高断熱の性能によってこの暖かい空間が保たれているわけですが、雨の音も聞こえないぐらい遮音性も高くて、まるでシェルターのようです」。こう評価する岩本院長は、実際にシェルターとしての機能を体感している。それは11年3月11日。多くの犠牲者を出した東日本大震災だ。一関市千厩町は内陸にあり津波の被害はなかったものの、地震直後から停電に見舞われた。暖房器具として使っていたパネルヒーターはもちろん使えない。3月とはいえまだ寒く、震災当時は小雪もちらついていたという。停電は5日間ほど続き、その間、高気密・高断熱の建物が、岩本院長や地域住民の寒さをしのぐ役割を担い、地域住民の健康も守り続けた。「停電で電子カルテは使えず、紙カルテで対応しましたが、室温があまり下がらなかったおかげで、凍えながら患者さんを診察するということだけは避けられました」と話す。
地域住民の健康をさまざまな面から守り続けている千厩ひかりクリニック。岩本院長は「クリニックに入ってきた時よりも、少しでも元気になってクリニックを出て行ってもらいたい。この基本思想で診療に当たっており、建物のコンセプトも、その思想を基に考えました。今はタイムパフォーマンスなんていう言葉もありますが、お年寄りの多いこの地域では、そんな言葉は無縁です。今後も、地域のみなさんとゆっくりとしたスピードで寄り添いながら、医療を提供していきたいです」と展望を語る。
■スウェーデンハウスの医院・医院併用住宅の建築実例はこちら
https://www.swedenhouse.co.jp/voice/?house_type_id%5B0%5D=1
■スウェーデンハウスHP
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