薬局の事業多角化、鍵を握る高齢者住宅(1)
門前の医療機関などに頼らない経営環境目指す
調剤報酬改定や薬価の見直しの影響を受け、調剤薬局の収益は常に変化を強いられ、経営環境は厳しさを増す一方です。中でも小規模薬局は、患者の確保を門前の医療機関や他の法人などに頼っているケースが少なくないため、経営への影響は深刻です。
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こうした状況に危機感を抱いている経営者らに対し、株式会社CBコンサルティングは、国が目指す「かかりつけ薬局」「健康サポート薬局」の考え方に適う「医療介護の流れに沿った事業の多角化」を提案しています。医療・介護のニーズの基となる「高齢者の住まい」にウイングを広げることで、門前の医療機関などに頼らない経営環境を目指します。
企画記事「薬局の事業多角化、鍵を握る高齢者住宅」では、4回にわたり、薬局事業の多角化のメリットや将来性、地域包括ケアシステムにおける役割などを解説します。今回(第1回)は、CBコンサルティング事業開発支援部の「高齢者住まい事業」の概要などを紹介します。
CBコンサルティング事業開発支援部では、薬局の事業多角化の起点として、高齢者住宅事業への参入を勧めています。その理由は、地域包括ケアシステムの概念の中心にある「住まい」として安心できる住環境をつくり、薬局が中心となって地域の医療介護を一体的に支える体制をつくる狙いがあるからです。
薬局が高齢者住宅事業を手掛けた場合、安定した賃貸収入が見込めることに加え、在宅の調剤業務を一手に獲得できる可能性があります。また、高齢者住宅事業で得たノウハウを活用し、介護事業を手掛ければ、介護保険収入が見込めることも考えられます。
CBコンサルティング事業開発支援部が提案する高齢者住宅は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームを選んでいないことも特徴です。専用面積などの関係上、どうしても割高にならざるを得ないサ高住制度と比べて、入居費用を抑え、家賃や管理費、食費を合わせて月額10万円以下としています。
建物は木造・地上3階建てで全30戸程度、住戸面積は約11平方メートルで、トイレと洗面台を付けます。浴室は共用とし、1階には食堂兼コミュニティーホールを設置します。立地に関しては、スーパーやコンビニエンスストアのある通りなどを想定し、入居者の家族が車で訪問しやすい、利便性の高い場所を勧めています。高齢者住宅事業の詳細や高齢者住宅による多角化のメリットなどについては、次回以降の記事で取り上げていきます。
◇掲載予定
第2回(2021年4月掲載予定) 薬局経営に詳しい、CBコンサルティング事業開発支援部の佐藤文洋次長が、調剤薬局の事業環境の現状と課題、高齢者住宅による経営の多角化を進めるメリットなどを説明します。
第3回(2021年5月掲載予定) ケーススタディーやQ&Aを通して、具体的な事業展開や地域包括ケアシステムにおけるビジネスモデルの構築などの方向性を示します。
第4回(2021年6月掲載予定) 「2016年度介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業事務局長」を務めた、CBコンサルティングの藤本進代表取締役が経営者の視点を交えて、薬局が高齢者住宅事業に算入する意義や地域包括ケアシステムにおいて果たす役割、本業との相乗効果などを論じます。
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