コロナ禍で業績を回復させた病院の3つの共通点
長英一郎氏の講演を無料再配信へ、WorkVision
医療機関向けのセミナー「新型コロナウイルスが病院経営に与える影響と対策」が11月25日に開かれ、東日本税理士法人の長英一郎代表がコロナ禍での院内感染防止や増収対策のポイントなどを解説しました。
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11月25日(水)オンラインセミナーの様子
不要不急の手術の延期や受診控えなど、新型コロナの感染が春から夏に拡大した影響で、多くの病院で業績が落ち込みました。しかし、長氏はこの日、「業績を回復させている病院や黒字に戻している病院も結構ある」と語り、そうした病院の3つの共通点を紹介しました。
このセミナーは、医療機関向けに医療情報ソリューションなどを手掛ける「WorkVision」(ワークビジョン)がオンラインで開き、病院の幹部など全国から97人が参加しました。同社では、セミナーを12月17日(木)に無料で再配信することにしています。
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新型コロナウイルスが病院経営に与える影響と対策
12月17日(木)15:00~16:50
■患者の不安解消がポイントの一つ
日本医師会が7月に行った調査では、医療機関の待合室などで病気に感染するのが不安かを尋ねた質問に、患者1,212人の計69.3%が「不安」か「やや不安」と答えていて、長氏はセミナーの冒頭、院内感染に対する患者の不安解消が医療機関による新型コロナ対策のポイントの一つだと指摘しました。
新型コロナへの不安から受診控えが広がると病院の減収に直結しかねません。さらに長氏は、国の財政が悪化する中、公的な支援を期待し続けるのは難しいという認識を示しました。その上で、病院経営を安定させる観点からも不安の解消が大切だと強調し、病院の取り組みの実例を紹介しました。
それによると、千葉県北部の中核病院では空調の換気時間を全館で延長したり、検査やリハビリの際に医療者が個人防護具を着用したり、院内で実際に取り組んでいる感染防止策をホームページに写真入りで掲載しています。長氏は「写真があるとすごく伝わりやすい。(どのような対策を取っているか)見れば分かる」と評価しました。
一方、医師の集団感染を起こし、その後の情報発信の少なさを住民らから批判されたある病院では、院内感染の防止策を文字だけで紹介していて、長氏は「(2つの病院は)同じことを説明しているのかもしれないが、(文字だけでは)なかなか詳しく伝わらない」と分かりにくさを指摘しました。
■キャッシュレス決済を採用し接触減
長氏はまた、「院内感染、特にクラスターが発生してしまうとそれまで黒字で推移していたとしても突然、赤字になってしまう」と述べ、日医が公表しているチェックリストを活用するなど感染防止策に取り組む重要性も強調しました。院内でクラスターを起こしたら外来と入院の双方で新規の患者を一定期間受け入れられなくなり、その上、風評被害も受けかねないためです。
日医のチェックリストは、▽遮蔽物を設置するなど受付での感染防止策を実施▽発熱がある患者向けにあらかじめ電話で受診相談を実施▽共有物や共有部分の消毒・換気を適切に実施-など9項目です。
受付での感染を防ぐため、中には、ビニールシートで受付を囲ってマイクで患者とコミュニケーションを取る病院や、スタッフとの接触を減らすためキャッシュレス決済を採用する病院もあるということです。
■冬の賞与「引き上げ」ゼロ、参加者アンケート
セミナーでは、病院の冬季賞与の支給方針や、経営上の悩みなどに関するアンケートを長氏が参加者に対して行いました。その結果、冬の賞与に関する質問では、前年の水準を「維持する」という答えが27人で最多でした。これに対し、前年より「下げる」と答えたのは11人で、「上げる」という回答はありませんでした。
一方、経営上悩んでいることには29人が「患者減」を挙げ、以下は「職員の確保」(6人)、「資金繰り」(2人)の順。また、10月と11月の外来患者数が前年並みに回復しているかどうかを聞くと、「戻っていない」が22人、「ほぼ前年並み」が12人。前年より「増えている」はありませんでした。このほか、年末の職員同士の会食は「人数制限をして認めている」が20人、「一切認めていない」が11人、「特に制限を設けていない」が7人でした。
長氏は「夏の賞与を見ていた印象だと(支払いの水準を)下げた病院は業績の回復が遅い」と指摘し、地域の相場を上回るような大幅な引き下げがスタッフのモチベーションまで下げかねないと注意喚起しました。
■12月17日(木) 開催概要
「新型コロナウイルスが病院経営に与える影響と対策」
この冬懸念される、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行。
一層の感染拡大に備えるために、医療機関はどのように対応するべきか?
今後の見通しを踏まえて「院内感染対策」「資金繰り対策」「増収策」の3つの対策を解説。
・講師:長英一郎氏(東日本税理士法人代表社員)
・日時:12月17日(木)15:00~16:50
・定員:80名
・形式:Webセミナー
・受講料:無料
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新型コロナウイルスが病院経営に与える影響と対策
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